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【#38】 停電中のクリスマス

1度目の停電

 12月23日(金)の午後、暴風雪の影響でオホーツク地方を中心に大規模な停電となりました。私の住む北見市は大丈夫だったのですが、兼牧する紋別の教会が停電中という連絡を派遣実習中の神学生(牧師の卵のような立場)から連絡がありました。冬の北海道です。備え付けのストーブの燃料は灯油なのに、電気がないと点きません。すぐ物置にあるポータブルストーブを出してもらい、また信徒の方が灯油を運んでくれました。ありがたいことです。

 電気の無い一晩を過ごした翌日の午前、神学生から連絡があり、電気が復旧したということでした。ちょうど10年前に同じ北海道の登別市で同じように鉄塔が倒壊して大規模停電になった時は、復旧まで3日かかっています。今回も数日間の停電を覚悟し、私も吹雪の中、峠を越えて北見から灯油などを届けに行こうと思っていましたので一安心しました。

 今回、北見市や紋別市など2市8町に災害救助法が適用され、紋別市には自衛隊が災害派遣されていました。そういう中でも神学生は冷静に落ち着いて様々な対応をしてくれていましたが、電気が復旧してホッとしたようです。北海道出身のA先生が、「HBCニュースに紋別の教会が映り込んでいました」と報告をくださいました。18秒あたりです。

停電中のクリスマス

 25日(日)の朝、神学生から連絡があり、再び停電になっているとのことでした。1年の最後の礼拝、そしてこの日のために準備してきたクリスマス礼拝の日に、まさかの停電です。神学生と連絡を取り合いながら、「できることを臨機応変にしてください」とお伝えしてお任せしました。

 停電中なので当然ながらパワーポイントも映し出せず、暗くなっている会堂にロウソクに火を灯してのクリスマス礼拝でした。悪天候と悪路の中でしたが、ほとんどのレギュラーメンバーとお誘いしていた方々が集われました。小さなポータブルストーブはあるものの、換気もしているので寒さの中でコートを着ながらでした。それでも、確かに救い主がここにおられるという、あったかい礼拝になったそうです。

 礼拝後の祝会では、隣町に住むTさんが多くの食事の準備をしてきてくださり、またIさんのちらし寿司、Kさんのスパゲティ、Eさんの差し入れ、そして神学生もグラタンを作るなどし、持ち寄った食事を美味しくいただかれました。大人も子どもも一緒になってゲームなどを楽しんでいる最中の午後2時頃、電気が復旧して皆さん思わず拍手をされニコニコ顔だったようです。

 楽しい祝会の最後、せっかくついた電気を消して、ロウソクに火を灯してキャンドルサービスを行い、救い主の光を内に灯しながら帰路に着かれたとのことです。神学生を預かる立場の私としては、離れた場所にいる心もとなさがありました。それでも信徒と一緒に心を合わせてクリスマスをお祝いしている様子を聞き、主を賛美するばかりです。

世界で初めのクリスマスのように

 世界一有名なクリスマスキャロル「きよしこの夜」が生まれた背景には、ネズミによる大きなハプニングがあったと伝えられています。今回、雪国における冬の停電というハプニングを通して、名曲は生まれなかったようです。

 それでも異邦人のガリラヤ(マタイ4:15-16)のように、停電で暗くなてしまった街にある紋別の教会で、電気が通る文明の機器が一つもないクリスマス礼拝が捧げられました。神学生の奏でるギターの音色に合わせて捧げる賛美に、きっと天の御使いたちも一緒に賛美を捧げていたことでしょう。小学生の頃に賛美した「世界ではじめのクリスマス」を思い出していました。

世界ではじめのクリスマスは 小さな小さなクリスマス
けれども喜び満ちあふれた 気高き真のクリスマス
グローリア、グローリア、グローリア、グローリア
インエクセルシス デオ

 私は神学生や紋別の皆さんから報告を聞いただけなのですが、何故か私もその場に一緒にいたかのような思いをしています。紋別の大規模停電がニュースで報道されたこともあり、同じグループの全国の教会の皆さんが祈りに覚えてくださっていました。心から感謝します。それぞれに味わい深いクリスマスの恵みがあったことと思います。

今日も主の恵みと慈しみが、追いかけてくる1日でありますように。

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