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【#137】岩の上を趨る水流

郷に入りては

 8/1-3、北海道教区のユースキャンプに行ってきました。会場は昨年と同じ日高。少し距離はありますが、車中もワイワイガヤガヤしながらの楽しい移動の時ですね。昨年と同じユースメンバー4人に、今年は妻が引率に加わりました。ユースメンバーに女の子3人がいるので、私としても妻がいることは大いに安心です。

 関西から北海道に来て思うことは、時間の流れがかなり緩(ゆる)やかということです。大人も子どもも、打ち合わせやプログラムの進行にしても、ゆる〜く進められているなあという印象です。そしてそれが大陸的な北海道に合っているんだろうなあと思っています。郷に入りては郷に従っています。

沢登り

 楽しいプログラムが様々にある中で、沢登りが印象的でした。水の流れるゴツゴツ、ツルツルとした川の中を一生懸命にユースたちが登っていきます。転びながら、キャアキャア言いながら、無言になりながら、お互いに声を掛け合いながら、林道の見守り隊からエールを受けながら、ゴールを目指して登っていきます。沢登りをするユースを見ながら、梨木香歩さんのエッセイを思い出していました。 

 ただひたすら信じること、それによって生み出される推進力と、自分の信念に絶えず冷静に疑問を突きつけることによる負荷。
 相反するベクトルを、互いの力を損なわないような形で、一人の人間の中に内在させることは可能なのだろうか。その人間の内部を引き裂くことなく。豊かな調和を保つことは。
 裸足の足を流れに取られないように岩の上においていく。岩の上を趨(はし)る水流はさほど深くはないが先日からの雨のせいで、激しく峻烈だ。平らな部分より少し傾斜のあるごつごつしている場所の方が足を安定させ易い。
 何か方法があるのだろう。それは歩行の際、着地点を瞬時に按配するような、そういう何かちょっとした無意識の筋肉の操作に匹敵するコツのようなものだろう。二つ以上の相反する方向性を保つということは、案外一人の存在をきちんと安定させていくには有効な方法かもしれなかった。コツさえ見いだせば。

梨木香歩『春になったら苺を摘みに』

 自分の内側に表れ出てきて、また外側からも直面させられる矛盾、不条理、葛藤、もがきというような二律背反を抱えながらも、リーダーに導かれ、しんがりに支えられ、お互いに励まし合い、エールを受けながらゴールを目指して進んでいくのでしょう。

▲ ユースキャンプ2日目の沢登り(2023年8月2日)

 TOP画像は「ラスボス」と言われる、大きな岩に挟まれたところを登る難関です。ユースたちがリーダーに教えられながら足の踏み場を探りつつ、大きな岩を掴むように両手で岩を押さえながら登っていきました。その中で、体の軽いI先生が何度も水に流され、ユースや大人たちから「がんばれー」と声援を受けていました。登りきったI先生は、みんなから拍手を受けておりました。

今日も主の恵みと慈しみが、追いかけてくる1日でありますように。



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