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センターポールアスリートとの出会い㉓ 車いす調達編

パラアスリートの価値発信の為に、選手との体験型交流が必要と判断した私は、スポーツ用車いすを運ぶ為の車輛を購入しました。

車いすの調達

そして肝心な体験会に使用する車いすの準備です。
スポーツ用車いすはバスケットボール用でおよそ30万~40万円(高いものはもっとするそうです。)車いすラグビー用は100万円以上と驚くほど高額となります。
車いすラグビーに関しては100万円で購入しても、競技の性質上、激しいタックルが伴う為、2年程度で買い替えとなるそうです。
(新車で買って、破壊し合う競技とは儚いものです。)

1台だけでも非常に高価で、体験できる車いすの台数となると腰が抜けるくらいの金額になるので新車でまとめて購入は出来ませんでしたので、まずはバスケットボール用の車いすから、中古で買い取りさせてもらう事としました。

センターポールの選手からも昔使用していた車いすを寄贈していただいたり、センターポールの選手の他にも寄贈してくれる大変ありがたい方もいらっしゃいました。 本当に感謝に尽きます。

しかし、体験に使用する車いすにも新品ではないので、修理やメンテナンスが必要となります。激しいプレーでフレームにヒビが入っている車いすもありました。
当然、修理には溶接や専門的な知識が必要となるのですが、私にはできません。
どこかに専門に対応してくださる方に依頼しなければいけなかったので、私はテレウスの三山慧さんに依頼をしました。

クールな職人

三山さんとは車いすラグビーの練習会で何度か車いすラグビーの会場や練習でお会いしたことはあり、当時はお互いに面識がある程度でした。
三山さんは車いすラグビーのメカニックとして日本代表にも帯同している方で、 若山選手も官野選手も。
というより、日本の車いすラグビーの選手のほとんどは三山さんにお世話になっているのではないでしょうか。


そもそも、三山さんが車いすラグビーと出会ったのは、官野さんとの出会いがはじまりだったそうです。
大学生の頃、バイク事故で入院した病院がたまたま官野さんと同じ病院で親交があったというのです。
退院後、しばらくして官野さんが車いすラグビーを話を聞き、三山さんは見学訪れた際、車いすラグビーの激しさに驚き、興味を抱いたそうです。
間もなくして車いすラグビーのスタッフとして関わるようになり、選手を支えるメカニックでニュージーランドにメカニック修行し、車いすラグビー造りの本場で学んできた経験を持つ方です。

私は、千葉県松戸にある三山さんの工場で
これから普及のために体験型の交流会を実施をしたいので修理をしてくださいと依頼すると、

三山さんは煙草を吸いながらボソッと
「それ儲からなさそうですけど、大事すね。やりますよ。いつまで?」
とクールに応援してくれたのでした。
なんだかルパンの次元みたいな佇まいでカッコいい。
預けた車いすも細かい微調整もしてくださり確実で丁寧な仕事の方でした。

調達が大変だったラグビー用車いす

バスケットボール用の車いすは国内3メーカーありますが、車いすラグビーは日本で製造しているメーカーはありません。
車いすラグビー用の車いすはニュージーランド、アメリカ、ドイツでしか製造が無いのです。
車いすラグビーを日本でプレーする選手はこの3社の車いすをオーダーする必要があるのですが、1台100万円ほどする車いすは殆ど流通していません。
車いすラグビーの競技人口も車いすバスケットボールと比較しても圧倒的に少ないので、中古も出回りません。

センターポールには車いすラグビーの官野さんや若さんが居るので何とか体験会まで行って競技や選手の魅力を発信したいと思っていましたが100万円×8台=800万円は昇天します。

どうしたものかと、思っていると当時センターポールの仕事を手伝ってくれていたスタッフが、International Wheelchair Rugby Federation(国際車いすラグビー連盟)のホームページに、ニュージーランド製の中古ラグビー用車いすが売りに出ているのを見つけてくれました。

チャンス!!
しかし、購入にあたり沢山の条件があるようです。

つづく