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2021年おすすめ新譜アルバムVol. 61: Hiatus Kaiyote「Mood Valiant」

新譜アルバム紹介Vol. 61です。

今回紹介するのは、オーストラリアのソウルバンドのHiatus Kaiyoteがリリースした「Mood Valiant」です。

ジャケ

Hiatus Kaiyoteはオーストラリアで結成されたソウルバンドです。

11年頃に結成し、12年には1stアルバム「Tawk Tomahawk」をリリース。13年のEP「Live in Revolt」、15年のアルバム「Choose Your Weapon」とリリースを重ねていきます。16年のEP「Recalibrations Vol.1」以降は今作に至るまでバンドでのリリースはありませんでしたが、Nai Palmの17年作「Needle Paw」などメンバーのソロでの作品は発表されていました。また、Kendrick LamarやTHE CARTERSなどヒップホップアーティストにサンプリングされることが多く、Drakeの18年作「Scorpion」へのNai Palmの参加などのトピックもあり、ヒップホップリスナーの間でも人気を獲得してきました。

ソウルをベースにジャズやヒップホップ、ブラジル音楽など多彩な要素を吸収したハイブリッドな音楽性のバンドです。驚くようなアイデアの引き出しと躍動感を持っており、緻密な演奏に基づいた圧巻のバンドアンサンブルを聴かせます。ヴォーカルを務めるNai Palmの歌もソウルフルで強力な歌ヂカラを持っています。

今作はFlying Lotus率いるBrainfeederからリリースされた久々のバンドとしてのアルバムで、レーベルカラーとバンドの個性が噛み合った繊細でいて野趣溢れる快作に仕上がっています。


2. Sip Into Something Soft

酔っぱらったようなドラムが印象的な曲。

ヴォーカルを大量に配したNai Palmの歌やメロウなエレピがよれたグルーヴで運ばれてくる、インタールード的な味わいもある短めの曲です。イントロ的な一曲目に続いて一気に引き込まれます。


3. Chivalry Is Not Dead

今作のハイライトの一つ。

ドラムの配置やフックでのシンセの入り方など、どことなくダブステップっぽい匂いが漂う曲です。しかし使っている音はオーガニックなもので、バンドとしてのグルーヴが出ています。


5. Get Sun Feat. Arthur Verocai

ブラジルのプロデューサー、Arthur Verocaiをフィーチャー。

ヒップホップ的な要素も交えつつ、暖かいブラスやストリングスが祝祭感を持って立ち上ってくる良曲です。ジャズ色の強い後半の展開もお気に入り。


6. All The Words We Don’t Say

変則的なリズムが強烈な怪曲。

細かく刻むようなドラムとレゲエを早くしたようなギターが効いたヴァース部分から、フックを経てスロウダウンし・・・とBPMも次々と変わるようなユニークな構成の曲です。それを全く違和感なく聴かせる技巧に圧倒されます。


8. Rose Water

アフロビート的な味わいもある手数の多いドラムが印象的な曲。

笛の音や時折聞こえてくるカリンバ(?)、コリコリとしたギターも良い味を出しています。多彩なヴォーカルのアプローチも素晴らしいです。


9. Red Room

ネオソウル的なクールネスを持った曲。

艶やかなベースと淡々としたドラム、低めの音域を歌うNai Palmの歌が心地良い好曲です。細かいパンニングもユニーク。今作のハイライトの一つです。


11. Stone Or Lavender

ピアノとストリングスでしっとりと聴かせるドラムレスの曲。

美しさが際立つサウンドで、Nai Palmの強力な歌ヂカラが堪能できる佳曲です。動の魅力を持った曲が多い今作の中では目立つ、静の魅力を持っています。

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