UGK「Super Tight」全曲解説
テキサスのラップデュオ、UGKのBun Bにメールインタビューしました。Rolling Stone JapanのWeb版に掲載されています。
Bun Bはテキサス、というか南部ヒップホップのパイオニアの一人です。ラッパー兼プロデューサーのPimp Cと組んだデュオのUGKでシーンに登場し、SUC周辺からDrakeまで膨大なアーティストの作品に参加してきました。太く低い低音から繰り出されるスキルフルなラップはどんなビートも巧みに乗りこなしますが、自身の作品ではあくまでもソウルフルに仕上げてくる確立された音楽性の持ち主です。レビューも何回か書いています。
今回のインタビューでは、キャリア初期に影響を受けたアーティストやUGKにとって重要な曲、近年の活動などについて聞きました。UGKの1994年作「Super Tight」が今年で30周年を迎えることからそのエピソードもあります。そこで今回は「Super Tight」を全曲解説します。
1. Return
オルガンが効いたPimp C得意のカントリーラップ。
Pimp Cの高音とBun Bの低音が、対照的でいて見事なコンビネーションを発揮する曲です。勇壮なホーンもばっちり。
2. Underground
生演奏と思しきギターやピアノを使った曲。
脱力しつつもヒリヒリとした緊張感も漂うビートで、Pimp CのゆるさとBun Bのタフさが光る曲です。Pimp C主導の印象。
ソウルフルな歌声も取り入れた曲。
小気味良いギターが光る軽快でイナタいファンキーな曲です。掛け合いフックも美味ですが、アウトロのピアノソロが鬼。
ゴワゴワとしたベースが目立つ曲。
ここでも生演奏と思しきギターを絶妙に使っており、ファンク好きの方にはたまらないはず。フックでは囁きラップも聴かせます。
5. Feds in Town
メロウでゆるゆるなGセンス溢れる曲。
この曲はBun Bがメインでラップしています。インタビューで出てくる「本当は一枚はPimp C、一枚はBun Bの二枚組になる予定だった」というエピソードを踏まえると納得の作り。
6. Pocket Full of Stones, Pt. 2
「UGKにとっての大切な曲」の続編。
南部マナーのパシャパシャとしたドラムにアーシーなオルガン、ファンキーなギターが絡む曲です。Pimp Cのねっとりとしたラップとブラスの絡みが見事。
7. Front, Back & Side to Side (feat. Smoke D)
後にT.I.がリメイクする曲。
Eazy-E「Boyz-N-The Hood (Remix)」ネタにオルガンを絡めて、見事にUGK仕様に仕上げています。Smoke Dのまろやかなラップとも好相性。
例の高音シンセも聞こえてくる曲。
ブヨブヨのベースも使ったGファンクの影響が強い曲です。フックでのPimp Cのゆるい歌声も抜群の心地良さ。
9. Stoned Junkee (feat. Mr. 3-2)
粘り気のあるズブズブのファンク路線。
このスロウでイナタいスタイルはテキサスGならではの味です。Pimp Cのソウルフルな歌声もたっぷりと堪能できます。
10. Pussy got Me Dizzy (feat. Mr. 3-2)
ブヨブヨのベースが目立つイナタいファンク。
ここでも例の高音シンセが聞こえてきますが、やはりテキサスらしい粘性があります。Mr. 3-2のラップもねっとりとした良さ。
11. Three Sixteens (feat. DJ DMD)
後にABNがリメイクする曲。
例の高音シンセをループしてハードボイルドに仕上げたビートに、Bun Bの武骨なラップが映えた曲です。Pimp Cのゆるさ、DJ DMDの力強さとも見事な絡みを聴かせます。
ここから先は
¥ 100
購入、サポート、シェア、フォロー、G好きなのでI Want It Allです