Jay Worthy & Roc Marciano「Nothing Bigger Than The Program」全曲解説
西海岸のラッパー、Jay WorthyのメールインタビューをRolling Stone Japanで行いました。
今回のインタビューは、来日ツアーにあわせて行ったものです。詳細は主催のIITIGHT MUSICの前売りチケット購入ページにて。
Jay Worthyについてはこれまでも何回か取り上げています。
Jay Worthyは自身でビートメイクを行いませんが、どの作品でも一貫したサウンドを聴かせるラッパーです。使っている音色は西海岸ヒップホップ的ですが、サンプリングベースのループ感が強いものを好みます。これはメインの活動であるSean HouseとのユニットのLNDN DRGSだけではなく、Harry FraudやShlohmoといった他プロデューサーと組んだ作品にも言えることです。インタビューではそのサウンドの話や、今後共演したいアーティストなどについて聞きました。
また、NYのラッパー兼プロデューサーのRoc Marcianoと組んだ最新作「Nothing Bigger Than The Program」のエピソードも少し聞きました。同作も素晴らしい作品ですので、あわせて全曲解説します。
1. Intro
ほぼ喋りのみのイントロ。
Jay WorthyのラップもRoc Marcianoのビートもない、スキット系の導入です。2曲目への流れが完璧。
2. Underground Legend (feat. Bun B)
ブルージーなギターをループしたシンプルな曲。
余計なドラムを足さない、Jay WorthyとRoc Marciano両者のマナーが感じられる曲です。Bun Bの燻し銀ヴァースも見事。
3. Nothing Bigger Than The Program (feat. A$ton Matthews)
Roc Marcianoなりに西海岸ヒップホップに寄せたような曲。
ファンキーなギターループやベースが心地良い、LNDN DRGS的でもある曲です。高めの声質でネチネチとしたラップを聴かせるA$ton Matthewsとも好相性。
オルガンのループが効いたダークなブーンバップ。
武骨なベースや軽めのドラムに微妙にウェッサイっぽい味があります。Jay 305の出番多めですが、Jay Worthyも流石の存在感。
5. The Plug (feat. Ab-Soul & Kokane)
ハードボイルドなドラムレスブーンバップ。
Pファンク直系の癖の強い歌フックを聴かせるKokane、スポークンワードとラップの中間を行くようなAb-Soulと強烈な個性と絡む曲です。意外な組み合わせですが自然と馴染んでいます。
6. Wake Up
LNDN DRGSでやりそうな曲。
ファンキーなベースとポロポロとしたギター、エレピをループしたメロウ路線です。今作で唯一Roc Marcianoもラップを披露。
7. My Own Two (feat. A$AP ANT & Bart Oatmeal)
ジャジーなネタを使った煌びやかな曲。
この曲もLNDN DRGS的で、西海岸ヒップホップ好きの方も楽しめると思います。Guruを思わせるBart Oatmealのラップも印象的。
8. How?
ソウルを歌声ごとループした穏やかな曲。
基本はRoc Marcianoらしい弱ドラム系ブーンバップですが、メロウで同時にJay Worthyらしくもあります。うっすら入るシンセが絶妙。
9. Players Only
ソウルフルなストリングスをループした曲。
太いドラムが鳴っていますが、かなり隙間がある使い方です。ここにRoc MarcianoとJay Worthyの美学が感じられます。
ドリーミーなギターを使った弱ドラム系ブーンバップ。
ソウルフルな歌声も巧みにサンプリングしたビートで、この曲も西海岸っぽい匂いがします。Kuruptのスキルフルなラップも強力。
11. The Huddle (feat. Bart Oatmeal)
サックスをミニマルに使った曲。
ドラムの入れ方も控えめで、二人のマナーに沿ったシンプルにラップを聴かせる曲です。Bart OatmealのクールなラップはやはりGuru系の味。
12. Fur Coat Talk (feat. Da$H)
緊張感の漂うハードなブーンバップ。
サックスのワンループで引っ張る、Roc Marciano色の強い曲です。Jay WorthyとDa$Hのシリアスなラップが映えています。
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