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2023年おすすめ新譜アルバムVol. 29: Pouya「GATOR」

新譜アルバム紹介Vol. 29です。

今回紹介するのは、フロリダのラッパーのPouyaがリリースした「GATOR」です。

Pouyaはフロリダ出身のラッパーです。

2010年代前半に登場。2012年には「Fuck It」と「Don't Sleep On Me Hoe」の2枚のミックステープを発表し、その後も2013年のソロEP「Baby Bone」やSir Michael Rocksとのタッグ作「Gookin'」など多くの作品をリリースしていいきます。2016年には1stアルバム「Underground Underdog」をリリース。以降も2018年の「Five Five」や2019年の「The South Got Something to Say」などアルバムのリリースを重ね、今年に入ってからも今作のほかにコレクティヴのALL BUT 6での作品「ALL BUT 6」をリリースしています。

メンフィス勢からの影響を感じさせる詰め込みフロウを得意とする、高めの声質を持ったラッパーです。Kingpin Skinny Pimpあたりに通じる魅力があります。サウンド的にはメンフィス的なダークなトラップやフォンク、エモラップ風味やGなメロウなど。インディロックのような曲をやることもあり、多彩な顔を持つアーティストです。

今作はソウルフル&メロウ路線やフォーキーな曲、ヘヴィなトラップなどをバランス良く取り入れた快作に仕上がっています。幅広いサウンドですが、メンフィスラップ感で一本の芯が通った印象です。


1. Death gotta be easy (cause life is hard)

インディフォークっぽい匂いもする枯れた味わいの曲。

寂しげなギターが効いたビートで、メンフィス的な詰め込みフロウを聴かせる好曲です。タイトなドラムからトラップ系のドラムに変化する構成もユニーク。


2. Broken Soul (breaking bread)

いかにもメンフィスラップ影響下にあるアーティストっぽい曲。

哀愁漂うホーンに手数の多い808を合わせたビートで、声ネタをフックに挟んで詰め込みフロウを聴かせる良曲です。ちょっとボンサグっぽさも。


3. Top notch hoes get the most, not the lesser (with Ramirez)

「Broken Soul (breaking bread)」と近い路線の曲。

この曲もホーン+手数の多い808+声ネタフックです。RamirezもPouyaと近いタイプのラッパーなので相性抜群。


4. Crawling On My Knees

ちょっとインディロックっぽい匂いもする滑らかな曲。

タイトなドラムと透明感のあるギターが印象的なビートで、詰め込み気味のフロウを聴かせる佳曲です。歌心のあるフックも見事。


6. Hard to Break a Habit When You Fall in Love

ポコポコとしたパーカッションを使ったソウルフル路線。

フックなしでひたすらPouyaがラップして、そこに生演奏と思しき哀愁漂うサックスが絡む曲です。G好きの方も是非。


9. Bitch Again (feat. Yung Gravy)

エレピが心地良いメロウな曲。

スムースですが、手数の多い808やカウベルも使っているのでメンフィス感があります。Yung Gravyのまろやかな低音ラップもばっちり。


11. HEADCRACK

メンフィス系のシリアスなトラップ。

冷たいピアノループに細かく刻むドラムを合わせたビートで、メロディアスなアプローチも交えてラップした好曲です。ラップの魅力が映えています。


13. Patty Melts

ギターを活かした哀愁路線。

ドラムの質感が生っぽくタイトで、トラップ的なものとは異なる方向性の曲です。アウトロで入ってくるギターソロも印象的。


17. Seen It All Before (with Delmar)

メロディアスなアプローチが目立つエモーショナルな曲。

ストリングスやギターを用いた穏やかなビートに、Pouyaの歌心のあるラップが映えた良曲です。Delmarの美しい歌声も絶妙のサポート。

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