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2023年おすすめ新譜アルバムVol. 89: Kassa Overall「ANIMALS」

新譜アルバム紹介Vol. 89です。

今回紹介するのは、NYのプロデューサー兼ラッパー、ドラマーのKassa Overallがリリースした「ANIMALS」です。

Kassa OverallはNYを拠点に活動するプロデューサー兼ラッパー、ドラマーです。

これまでの活動や音楽性については以前書いたこちらを。この後は2020年の「SHADES OF FLU」、2021年の「SHADES OF FLU 2」、2023年の「SHADES 3」と3枚のミックステープを発表しています。

今作は一聴するとかなりヒップホップ寄りのようですが同時にしっかりとジャズで、聴いているうちにそのバランスが逆転し続けるようなユニークな作品です。妙にクラウドラップ周りの客演陣が多いので、その周辺が好きな方も是非。傑作。


2. Ready To Ball

フックでは早回しされた声を使った曲。

跳ねるようなパターンのドラムや程良く自由さのあるピアノも印象的な、ジャズでありヒップホップでもある曲です。ここでのKassa Overallのラップは、NYの人なのにどことなくベイっぽい匂いがします。


3. Clock Ticking (feat. Danny Brown & Wiki)

Danny Brownが目立つヒップホップ寄りの曲。

シンセやピアノも入りますが、音数は少なめでドラムとラップで聴かせるような作りです。しかし長く取られたアウトロでは、エディット感の強いジャズに聞こえます。


5. Make My Way Back Home (feat. Nick Hakim & Theo Croker)

Kassa Overallはラップしていますが、どちらかといえばジャズ寄りの印象の曲。

Theo Crokerのトランペットも大きくフィーチャーした、スペイシーでスピリチュアルなムードの漂う佳曲です。Nick Hakimの漂うような歌とも好相性。


7. No It Ain't (feat. Andrae Murchison)

Andrae Murchisonのトロンボーンを主役にしたようなインスト。

ジャズ寄りの曲ですが、高速ハイハットが目立つビート感覚は同時にヒップホップ色も強いです。トロンボーンのフレーズもヒップホップ好きの方ならニヤリとするはず。


11. The Score Was Made (feat. Vijay Iyer)

少しだけラップもしていますがほぼインストの曲。

美しいピアノをやや遠い位置でエディット感強めに聴かせます。フリーキーな展開がビートスイッチのように短く差し込まれる終盤も印象的。


12. Going Up (feat. Francis and the Lights, Lil B & Shabazz Palaces)

今作のベストトラック。

暖かいサックスやストリングスが沁みる音作りで、Francis and the Lightsの優しい歌を挟んでラッパー二人がマイクリレーを聴かせる曲です。隙間の多いラップでミュージシャンの演奏を活かしたLil Bのヴァースがハイライト。

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