2023年おすすめ新譜アルバムVol. 42: T-Pain「On Top of the Covers」
新譜アルバム紹介Vol. 42です。
今回紹介するのは、フロリダのシンガーのT-Painがリリースした「On Top of the Covers」です。
T-Painはフロリダ出身のシンガー兼プロデューサーです。
2000年代半ば頃に登場。2005年には1stアルバム「Rappa Ternt Sanga」をリリースし、2007年のアルバム「Epiphany」頃からシーンでの存在感を強めていきます。その後も2008年の「Three Ringz」や2011年の「Revolver」などの作品をリリース。一時勢いに陰りが見えましたが、2014年のNPRの人気企画「Tiny Desk Concert」に出演したあたりから再び人気が上昇。Chance the RapperやDenzel Curryといったラッパーの作品への参加や、2018年のミックステープ「Everything Must Go (Vol. 1)」の発表など精力的に活動しています。
ソウルフルでイナタく、ラップっぽい歌い方も得意とするシンガーです。ラップを披露することもあり。オートチューンの流行の起点となったことで知られていますが、素の歌声でもかなりの表現力を持っています。プロデューサーとしては南部ヒップホップ以降のスタイルで、R&Bマナーのロマンティックなものや清涼感のあるものなどを聴かせます。
今作はソウルやロックなどの名曲を、オートチューンを使わずにカヴァーした作品です。アレンジもヒップホップ色がほぼなく、ソウルシンガーとしての力量をアピールするような力作に仕上がっています。
元ネタはSam Cookeの永遠の名曲。
シルキーなストリングスや優しいエレピが効いたサウンドで、力強くソウルフルに歌い上げる見事なカヴァーです。イントロから度肝を抜かれます。
ロックバンドのJourneyのカヴァー。
美しいピアノが目立つ音使いは原曲から大きく離れるものではありませんが、ソウルフルな歌いっぷりで完全にT-Painの色に染まっていいます。ソウル好きの方も楽しめるはず。
ポップな空気の通った曲。
ここでは清涼感のあるピアノやストリングスで華やかに仕上げています。女声コーラスもばっちり。
5. Stay with Me
今作のハイライトの一つ。
元ネタはSam Smithです。落ち着いたピアノと四つ打ちキックの静かなサウンドで、T-Painの力強い歌声が沁みます。
7. That's Life (feat. NandoSTL)
今作で唯一ヒップホップ要素をはっきりと導入した曲。
途中までオルガンや控えめな生演奏と思しきドラムが目立つゴスペルっぽい路線で進みますが、後半で808が入ってきてトラップ的なビートなります。NandoSTLのソウルフルな歌フロウも強力。
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