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日本×デンマーク お仕事手帳 その3

デンマーク式プレゼンの仕方

最近仕事で関わっているプロジェクトの1つにデンマークの小学生、中学生に向けた健康調査があります。ここのところ、その結果の概要を伝えに、まったく知らない他の局や課、団体に招かれ発表する、という業務を引き受けています。45分や60分のプレゼンの時間を与えられた時、どうするか。デンマークの職場で求められるプレゼンは日本でのプレゼンともちょっと異なる気がしていて、おもしろいので、ここにまとめてみました。


パワポ1ページにつき1つのメッセージ

プレゼンの黄金ルールは、難しい内容でもいかに、対象者にわかりやすく、印象を残して伝えられるか、ということ。これは日本でもデンマークでも変わりはないと思います。私の担当中の健康調査も60ページのグラフが延々と続くレポートなので、淡々と語っていたら、始まって5分もたたないうちに、デンマーク人の聴衆は、あからさまに、あくびをしたり、他の作業に入って興味を欠いてしまいます。私も参加者の人たちも仕事の時間を無駄にしないようにどうするか。
私はデンマークの職場で働くようになってから、実際にプレゼンの材料になるパワポは、とてもシンプルに仕上げて、実際の口頭で、ポイントをわかりやすく伝える、とういことに重きをおくことを学びました。基本的にはパワポ1ページにつき、1つのメッセージだけにすることを心がけています。
パワポをただ読み上げる、パワポに重要なことが事細かく書かれている、という発表。日本の学校や職場ではよくありがち、自分でもやりがちでしたが、こちらの職場ではまったく通用しませんでした。

面白いこと、結論から先にいう

参加者に、ああこの人は自分にとって価値のある情報をもっているんだな、と思ってもらうためにも、プレゼン全体での一番大切なメッセージは最初の5分の間にいうように、そのための1ページもパワポの冒頭にいれるように心がけています。そうするとなぜ、これから先話を聞く必要があるのか、どこをポイントにきけばいいのか、がはっきりして、話の食いつきがよくなることを、こちらの職場で実感しています。
デンマーク人の同僚でも、大事なプレゼンをするときは冒頭にポイントがわかりやすく伝わる動画、イラスト、マンガの4コマをいれたり、と、結論を伝えるのに、いろいろ工夫をこらしている人を多く見かけます。こういう意外性のある視覚的イメージや、直観的にわかりやすい画像が加わると、そこから想像が拡がり、発表内容にはいりやすくなるなあと日頃から関心しています。

参加者1人1人に考えてもらう

自分の発表は端的にすませて、発表の後半に逆に参加者に問いかけをし、話し合ってもらう時間をとる、という手法もこちらではよく取り入られています。例えば隣に座っている人と今の発表内容で気になること、自分の業務につながること考えてもらい、5分後に軽く発表してもらう。そうしてもらうことで、一度発表内容を咀嚼してもらって、もっと興味を深めてもらう、内容に関して自分の課題とつなげてもらうことができます。また、こういう時間を少しでもとって発表中に共有することで、発表者側へのフィードバックにもなり、有意義な発表になることもあります。
逆に難しいのは、議論が始まってしまって、時間内におさめるのが難しくなったり、話がずれていき、本題に戻るのが難しくなること。または、意見を交換する土台のない人の集まり(例えばお互いのことを知らない人たちの集まりや、知り合いであっても他に何らかの問題があって話し合いをもともと避けている状態にある場合等)だったりすると、それに合わせていろいろ工夫をしないといけなかったりもします。大事なのは発表を聴いている人にとって、意見の言いやすい質問や環境を前もって用意すること。そのための前準備として、どんな人が集まって、どんな場で聞いてくれるのか、をプレゼンの前に、ある程度下調べしていきます。

以上、デンマークと日本の職場の違いで感じる、伝え方の技術やプレゼン準備のポイントをまとめてみました。



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