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合格・不合格より、学びの好き・嫌いが人生を左右する

こんにちは、浦島太郎です。

年寄りが若い日を思い出して書いたりすると、だいたい失敗します。
前回、「専門書の読みかた」について書きつつ、会計士受験生に「がんばれよ」とのメッセージを送りましたが、なんとその日が試験最終日。なんという間の悪さ。しかも今の受験生はほとんど専門書を読まないそうで。大失敗です。

しょうがない。気を取り直し、改めて「資格試験を目指すこと」の意味と、最も大切な「学び」のありかたについて書きます。浦島太郎はしつこいのだ。

「資格だけでは食えない」は本当なのか?

会計士、弁護士、中小企業診断士、社会保険労務士、FPなどなど……。
学生も、社会人も、日本人は「資格」が大好きです。個人の武器として「名乗れる資格」を求める心情はよくわかる。しかも多くの資格には独占的な業務が認められているので、「資格を取れば食いっぱぐれがない」との伝説的な思い込みもあるようです。

しかしながら、最近多くの合格者から「資格を取ったのに金が稼げない」との愚痴を聞く機会が増えました。

それを「競争が激しい」とか「不況だから」と片付ける向きが多いようです。果てには「AIによって仕事が奪われる」との不安の声も出てきました。
・・・・心配すんな、AIなんかに仕事奪われてたまるかい(笑)。

資格試験の勉強で手にする本当の武器

私はあれだけ時間を掛け、集中して勉強することの本当の成果は「資格」そのものではないと思います。我が身を振り返って、あの勉強で得たものは「専門書の読み方」であり(しつこい)、そして「学びの楽しさ」を知ったこと。とくに後者の「学びの楽しさ」を知ったことは大きかったです。

自分が会計士受験の勉強後、専門学校からスカウトされて講師をやった経験からも言えることですが、資格試験受験勉強の「その後」まで考えると「合格=幸せ、不合格=不幸」という単純な図式ではありません。

「不合格でも幸せ」になる人間もいるし、逆に、「合格したけど不幸せ」な人間もいます。この一見すると理解しがたい「たすき掛け」現象がなぜ生じるのか?
--その答えが合否とは別の「学びの楽しさを知ったか否か?」にあるように思うのです。

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サービス業の稼ぎを決める仕入れ活動

製造業や流通業、建設業といった「モノづくり」産業が「モノあまり」によって低迷する一方で、モノを売らないサービス業の比率が高まっています。あるいは製造業や流通業でもモノ売りだけでなく、サービスによって稼ぐ比率が高まっています。

サービス業が顧客に売るものは無形の情報・ノウハウ。そこでは従来の原価計算やそれをもとにしたプライシングが通用しません。サービス業はよく「自分の身ひとつで稼げて羨ましい」と言われます。たしかにそれはその通り。流通・製造業とちがってモノの仕入は必要ありません。

ただ、サービス業に仕入が無いわけじゃない。自分が売るべき「知識やノウハウ、その情報」についてはつねにアンテナを張って仕入れておかねばなりません。その仕入活動こそが「学び」です。学びのないサービス業は古い粗悪品しか顧客に提供できないし、学びのないサービス業の人間はキャラクターとして魅力的であるわけがありません。

「自分自身が商品となる」ことは、学びを生涯続けねばならないことを意味します。ここで問題は、その仕入活動たる「学び」を楽しんでできるか、それとも義務でイヤイヤやるかという点--ここが大きな分かれ道です。

合格・不合格とは別の分かれ道

各種資格試験にチャレンジした人間には2つのタイプがいます。
ひとつが「学びが好きになる」人間、そしてもう一方が「学びが嫌いになる」人間です。
これは私の主観ですが、実のところ、難関資格ほど受験の結果として「学びが嫌いになる」タイプが多いのです。これは勉強が難しいのだから、当然のことかもしれません。

そして択一式試験の存在が勉強嫌いに拍車を掛けます。論文式試験に比べて選択式の試験ではどうしても運転免許試験的な「知識の詰め込み」にならざるをえず、ここで勉強が嫌いになるのは仕方のないところ。

苦痛きわまりない勉強の果て、合格した瞬間に「ああ、これでやっと解放された!」と勉強しなくなるのは大学受験でも、資格試験でも変わるところがありません。

だとすれば、資格試験で重要なのは合否が判明した段階で「学びに対する余力」を残しているかどうかに尽きます。
「燃え尽き合格者」になってしまうと、その後の学びが義務になって、”仕入活動”が苦痛になります。これでは「資格では稼げない」愚痴へとまっしぐら。
これなら「学ぶ楽しさを知った不合格」のほうがマシかもしれません。さっさと受験に見切りを付けて、実業界へ飛び込んで”仕入活動”を継続させ、成功した人間を私は何人も知っています。

「学ぶ楽しさ」を知り、それを伝えること

合格・不合格の結果とは別の、「学びが好きになるか・嫌いになるか」がポイント。自分自身が商品となるサービス業につくならこのことを承知しておいた方がいいです。

私自身は受験のとき、「学びの楽しさ」を教えてくれる先生と出会いました。いま、そんな先生はいるのだろうか?

親は子に「勉強しなさい」と言わないほうがいい。それより「学びの楽しさ」を教えないと。そのためには自分自身が「学ぶ楽しさ」を知っていないといけません。

さいきん私が講師をつとめるZoomの勉強会にて、画面に見える参加者の横に小さなお子さんの姿が写ります。その子に「なにしてんの?」と訊かれれば、親の参加者は「勉強しているんだよ」と笑顔で応えることでしょう。これがその子にどれだけ良い影響を与えることか。

資格試験受験者も、そうでない人も「学ぶ楽しさ」を大切に。
・・・・ああ、まだまだ書き足りない。また次回「学び」へ続きます。


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