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人への投資をしない中小企業では対人スキルとハラスメント対策の軽視による悪循環が生じている!?|2024


労働政策研究・研修機構の「人への投資と企業戦略に関するパネル調査(2023.10.23)」という資料です。
中小企業のハラスメント対策に関係する部分を抜粋してみました。

中小企業では賃金の引上げが目立つ

中小企業、大企業ともに全体として人手不足感が強い中、「デジタル化を担う人材の不足感が特に強い
重視する人材確保の取組については、中小企業では募集賃金の引上げなどの労働条件の改善が、大企業では採用チャネルの多様化が目立つ。

中長期的戦略

中長期的な経営戦略については、中小企業、大企業ともに、
「成長重視」より「利益重視」
「コスト削減」より「差別化に注力」
「多角化」より「選択と集中」
「事業の縮小・撤退方向」より「拡大方向」
「市場拡大」より「競争激化」
の方を選択する企業の方が多い。

働き方や人材育成に関する具体的な制度についても、大企業に比べて中小企業での導入が進んでいないが、近年になって中小企業でも導入が広がる制度もある。

研修実施状況

研修予算を投入しているスキル・知識については、中小企業では「業務知識」が目立つ一方、大企業では、それ以上に「対人スキル」も重視

研修の受講者の割合や受講日数については、中小企業ではそもそも研修を実施していない割合が高く大企業では、受講者割合で0~20%未満、受講日数で1~2日未満が最多

現金給与総額に対する能力開発費の割合は、中小企業、大企業ともに、無回答が多いことに留意が必要であるが、最多回答である「0」を除くと「0.5超~1%」が比較的多い。

人権デューデリジェンス(人権侵害に関わるリスクを評価し、管理するための対策)の取組割合については、大企業では「ハラスメント」対策で約8割「従業員の属性に基づく権利侵害」対策で約3割と比較的取組が進んでいるが、中小企業では「いずれの取組もしていない」が約5割を占めるほか、「ハラスメント」対策で約5割と企業規模により取組に差異がみられる。

総括

中小企業は人手不足に対して賃上げで対抗している。
働き方や人材育成に関する具体的な制度について中小企業は大手企業に比べて進んでいない。

予算投入の対象となるスキルについて、大企業では「対人スキル」を、中小企業では「業務知識」が目立つ。

ハラスメントと人権に対する取り組みをしている企業は大手企業で8割以上だが、中小企業では5割が何もしていない。

感想

人手不足解消に対抗して賃上げをしても、人手の全体数が増えないなら、取り合いが激化するだけで社会全体としては問題は解決されません。

大手企業は中小企業に比べて、対人スキルを重視しているようです。
人手不足がより深刻であるはずの中小企業の方が、ハラスメント対策が進んでいませんが、一方では業務知識に対しては投資しています。

業務知識を身に着けても、ハラスメントトラブルによって離職してしまえば、それにかかる研修コストは無駄になってしまいます。
転職者が中途採用されれば、必然的に業務知識が不足するので、再度、研修の必要が生じます。

業務知識研修→ハラスメントトラブル→離職→採用→業務知識研修→

という悪循環が生じているのでは?

この循環から脱するには、対人スキルを重視したハラスメント対策によって離職を防止することが効果的だと思うのですが、まだそこまでの気づきに至っていないのではないでしょうか。


ありがとうございます。これからもどうぞよろしくお願いいたします。 <(_ _)>