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権力・権限を持つ人は自制が必要という話。

 世の中、国、自治体、会社で権力・権限を持つ人が気を付けなければいけないことは山ほどありますが、どんな組織であれ共通したポイントがあります。
 それは、組織内では法律などのルールに沿って運用する、信賞必罰を徹底する、という事です。

 人によっては、組織の上にいるのだから好き勝手したいと思う人もいると思います。別に止めることはしませんが、好き勝手していては組織が続きませんので、そのような考え方の人は組織内で権限を与えてはいけないということになります。
 なぜ、ルール通りに物事を運用する、信賞必罰が必要かというと、それを徹底しないと組織の各人が好き勝手に動き出して、組織としての目標ではなく個人の利益だけを追求し始めるからです。

 例えば、公務員への賄賂が禁止されている国を想定すると、
・公務員が賄賂を要求する
・公務員が賄賂を受け取る
といった事をしても罰せられない場合、公務員は皆、賄賂を要求し受け取るようになります。
 最悪、国民が公務員に渡さないと公共サービスが受けられない、賄賂を渡さないと無い罪をでっちあげられて逮捕されるといった事が想定されます。
公共サービスを受けるために税金を払っている国民からするとこんな政府は不要なのです。

 会社でいえば、
・横領や不正をした人に対して、ルール通りなら懲戒解雇のところ、出世や給料に多少影響がある程度の軽い処分にしている
・社長と個人的に仲が良いからと仕事の成果が出ていなくても役員になっている人がいる
・自己保身と部下の手柄を横取りしたり責任転嫁をしたりして役員や部長になっている人がいる
という会社は、多少事業が続くかもしれませんが、良い会社にはなれないでしょう。
 何故なら、軽い処分で済ませたり、降格しないことで社員に「ルールを破ってもいいですよ」というメッセージを出しているからです。
 さらに社員の中に「この会社は悪い事をしても許されるから、自分もやろう」という人と、「こんな会社で仕事しても真っ当には評価されないから、仕事をさぼるか、転職しよう」という人を生み出すからです。
 
 つまり、権限、権力の大小にかかわらずルール通りの対応が必要になり、信賞必罰は徹底しないと組織が機能しなくなるのです。もし、ルールが間違っているのであれば修正すればよいのです。

 さらには、上の地位に行けば行くほどこれらを率先して実行することが求められます。名経営者と言われる人が、会社を経営する際に孤独を感じている要因のうちの一つが、個人的な付き合いを考慮せずに信賞必罰を徹底する必要がある(その時は個人的な人間関係を持ち込まない)からです。

 ここで具体的な反面教師の一例です。
 近頃、ある上場企業で監査役が経費を不正に申請・着服して私腹を肥やしたためクビになっていましたが、それで処分が止まっています。さらにそのグループ会社の役員が取引先と共謀して不正を働いて私腹を肥やしていました。おそらくこの企業の役員層には、上の地位に行けば何をしても良いという歪んだ考えが根底にあることが推測されます。
 さらにこの会社は過去に大きな認証不正事件を起こしており、不正を起こした部門の経営層がいまだにその会社や子会社で役員などに就いているようです。
 さらに言えば、最近社長が交代しましたが、前社長は交代前に増配をして退任しました。前社長はそれなりに株を持っていましたので、自分のために増配したとみられても仕方ないでしょう。
 当然ながら、この会社の経営状態は万全ではなく、最近ようやくわずかに持ち直したという状況です。なお、今までに何度も経営危機に陥っています。(おそらくその度に現場の社員が頑張って支えたのでしょう。)
 この会社(グループ)は、平社員ではなく、役員がこのような事をしているのが闇が深いです。(さらにはIRの資料を見ると、「自分たちは素晴らしい会社になった」感を出している点が闇をさらに深くしています。)私はこの会社では絶対に働きたくないですが、皆さんはどうでしょうか。


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