アクティブラーニング 学習効果を高める工夫

前回の記事では、アクティブラーニングの定義と目標から考え、
「とりあえずペアワーク」ではアクティブラーニングの本質に迫ることができないということを指摘しました。
また、ペアワークを「知識の習得」と「社会的能力」(情報をよりよく扱い、伝達し合う力)の習得というアクティブラーニングの目標達成に役立てるためには、

①「能動的な」アクティブさがあること (生徒がワイワイと積極的に学習に参加すること)

だけではなく
②「相互作用的な」アクティブさがあること
③「脳動的な」アクティブさがあること
が必要であるとしました。

本日は②③について深め、日頃の授業に役立てられるような視点が提供できればと思います。

とその前に
改めて強調しておきます。
①はそれだけでは不十分ですが、学習効果をあげる上では重要です。(特に英語では)
そもそもアクティブラーニングの背景にはCooperative Language Learningというものがあり、その理論においては
「協働作業は生徒の動機を高め、情意フィルター(発話することを恥ずかしがってしまうなどの心理的障壁)を弱めてくれるので学習効果が上がりやすい」とされています。
ただそこに4つのエッセンスを加えることが必要であるということが、日本の現状でのアクティブラーニングにおいては軽視されがちなのが問題なのかもしれません。
4つのエッセンスとは
A) Positive Interdependence(仲間と頼りあって学習を成功させること)
B) Individual accountability (個々が協働作業に役割を持っていること)
C) Equal participation (平等に活動に参加できること)
D) Simultaneous interaction (リアルタイムで関わり合いながら学習すること)
です。以下ではこれらの理論をベースとしながら書いています。

それではいきます。

②相互作用的なアクティブさがある
アクティブラーニングの背景にある理論のひとつ“Communicative Language Learning”によると、コミュニケーションに必要な「知識」や「社会的能力」は意味のあるコミュニケーションを通して習得されるとされています。
意味のあるコミュニケーションとは、「お互いが持っている情報や意見が違っている中で、リアルタイムに行われるコミュニケーション」のことです。このような状況でのペアワークなどを通して、他者から「自分にない発想や表現方法を知る」ということが重要です。これは「社会的能力」を育てるという意味でも重要であり、これがあるかどうかが良いALになっているかを左右するポイントです。
では実際にはどのようなペアワークが使えるでしょうか。
以下では意味のあるコミュニケーションの例として
「意見の共有」
「推測の共有」
「情報の共有」
を挙げてみます。
以下の画像とイラストをご覧ください。

これは実際にコミュニケーション英語IIの授業において実践した例です。
このレッスンでのトピックは「選択が持つ力とは?」というものなのですが、
その導入として画像を見せながら、イラストの問いかけ「選ぶことは好きか。理由は?」に対して、生徒は「自分の意見を共有」します。
この活動には、「答え」が存在しません。必要なものは自分の考えだけなので「誰もが考えること」ができます。さらに相手の考えは話してみないとわからないので、意味のあるコミュニケーションであると言えます。

ある生徒は「好きなものを選ぶのが好きだからyes 」と答え、また別の生徒は「迷うのに疲れるからno」と答えます。
ここでは自分とは違う考え方の存在に「気付く」ことができ、また相手の話し方から理由を述べる時の言い回し(it’s because ...など)を学ぶことが出来ることもあります。

次に以下の画像と元に、問いを投げかけます。

このスライドの下部の問いは、ただ「自分の意見」を共有するだけだった前回の問いと違い、自分なりに考えて答えを 「推測」する 必要が出てきます。
またトピックについて知らないことを推測することで「実際何が起こるんだろう」「もっと知りたい」という関心を引き出す狙いもあります。
つまり「英語を学ぶために英語を使う」のではなく「知りたいことを知るために英語を使う」という状態を作るのです。
じつはこれがアクティブラーニングを本当の意味で輝かせるために必要な最重要事項です。それこそが

③「脳動的な」アクティブさがある
つまり、「脳が学びに向かって動いているという意味での能動さがある」ということです。

本当はこれさえあればペアワークもグループワークもなくても「アクティブラーニングである」と言えるんじゃないかとさえ思っています。
文科省のいう「主体的、対話的で深い学び」の中での「主体的」と「深い」はこの状態を指しているのだと思うのですが、
なぜか現状のアクティブラーニングは「対話的」にばかり目がいってしまって、ここを抜かしてしまっていることが多いのです。

この考え方のベースにはContent-Based Learningの考え方があります。
この理論は大変奥が深いものなのですが、端的にいうと「英語を学ぶために英語を使う」より「何かを学ぶために英語を使う」方が学習効果が高いことが実証されてますよ、っていうものです。

では、この状態を生かすペアワークを紹介したいと思います。
ここでは「情報の共有」を行う活動、
その中でも”JIGSAW”という形式の学習方法が有効になります。

手順としましては、
1、生徒ごとに役割を与えます(今回はA担当とB担当)

2、それぞれに異なるワークシートを渡し、該当部分についてよく調べるために本文を熟読するよう指示します

3、同一担当の者同士で情報の整理、伝え方の作戦会議を行わせます。(ここの答えあってる? この英文難しすぎるからなんて伝えようか?などの情報交換)

4、AとBにそれぞれ自分の担当した内容を発表させます。

5、Aの内容について、BがAに確認することで、内容が伝わっているかを確認します。

6、 5の逆を行います。

JIGSAWとは「情報の全体像を捉えるためには、お互いが持っている情報を持ちよらなければならない」というシチュエーションを作ることで、
強制的に協力しなければならない状況を生み出してしまうという、いわば「人質学習法」とでも呼べるものです。笑
「自分の理解の質が、相手の学習に影響を及ぼす」という状況ですから、クラスメイトを人質に取られているようなものです。
実際やってみると、
生徒はトピックに興味もが湧いている状態なので、熱心に自分で英文を読んで答えを探ろうとしますし、
相手に理解してもらうために情報を整理したり、伝え方を工夫したりしてくれます。
結果、ものすごく質の高い協働活動になるというイチオシの学習スタイルです。
さらに上記の流れは

以上のような形でペアワークに狙いを持たせることで、見栄えだけのアクティブラーニングから
学習効果も期待できる上に盛り上がりのあるものに変化させることができると思います。
また上記の活動には、アクティブラーニングの成功の鍵を握る、4つのエッセンスである

A) Positive Interdependence(仲間と頼りあって学習を成功させること)
B) Individual accountability (個々が協働作業に役割を持っていること)
C) Equal participation (平等に活動に参加できること)
D) Simultaneous interaction (リアルタイムで関わり合いながら学習すること)

が盛り込まれていることもご確認いただけるかと思います。

今回はアクティブラーニング改善への基本的なアイディアをお伝えさせていただきました。
今後は実際に授業で実践して効果が実感できた活動を紹介できたらと思います。

長文お付き合いいただき有難うございました!
お互い熱く教育活動がんばりましょう!

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