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AIが"音楽通向け"に選んだX JAPAN5選をファン歴23年が考察&反論

今回もSNS友達とのやり取りが発端となっている。ジャニーズ主食でメタルもヴィジュアル系も縁がないままX JAPANを聴き始めた彼女に勢い余って「ART OF LIFE」を勧めた結果、

『「ART OF LIFE」のピアノソロはなきゃいけないって思うんだよね。私って案外通なのかもしれん(笑)』

と返ってきた。通かどうかよりもここが伝わる心友なのが嬉しい。では、初心者向けではなく音楽通向けの前提なら自分なら何を選んだのか?

今回は、あえて"音楽通向け"をChat GPTに要求してみた。そして、初心者以上に何がどう琴線に触れるか把握しづらい通向け用に選び直してみた。


AIが音楽通向けに選んだX JAPAN5曲


1. Art of Life
29分に及ぶ大作で、クラシックとヘヴィメタルの融合が見事な作品。YOSHIKIのピアノソロも圧巻で、バンドの技術と音楽性の高さを存分に味わえる一曲。

2. 紅
代表曲の一つで、疾走感のあるリフとドラマティックな展開が魅力。TOSHIのパワフルなボーカルとHIDEのギターが印象的。

3. Endless Rain
美しいバラードで、メロディの美しさと感情豊かな歌詞が特徴。コンサートでの観客との一体感も有名。

4. Rusty Nail
キャッチーなメロディと力強いサウンドが特徴で、ライブでも人気の高い曲。

5. Silent Jealousy
激しいギターリフと緩急のある展開が魅力の一曲で、技術的にも高度なパフォーマンスが求められる。

これらの曲は、X JAPANの多彩な音楽性やメンバーそれぞれの技術力を感じさせる作品ばかりとのこと。

考察



・『Art of Life』は仕方がない…のだが?

この曲ばかりは私が選んでも真っ先に名前が挙がる大作。賛否両論あるYOSHIKIのピアノソロも私は絶賛派だ。もっとも、このソロに関しては『融合』というにはあまりに異質なセクションのように感じるし、それこそがこの曲を"他の曲との共存を拒む"存在にしていると思う。

・人気曲・定番曲が"通向け"になるX JAPANの特性=反論の難しさ

29分のプログレメタルは前述したが、7〜8分のスピードメタル、6〜7割進むまでサビが来ない変則展開、前半後半で大胆な転調をするなど、ラジオフレンドリーな音楽の特質を踏襲せずにこれだけ売ったメタルバンドが日本に存在すること自体が奇跡。"YOSHIKI曲は悉く通向けだからファンが推す順に並べれば良い"—そんな割り切りをAIの選曲に感じる。

・『キャッチーな美しいメロディ』『ドラティックな展開』『高度な技術力』が共通項

X JAPANは演奏テクニック以上にパフォーマンスや作曲テクニックが遥かにモノをいう点が真に偉大なところだと私は思っている。技巧はあくまで手段。メロディと展開の魅力、これこそが反論の鍵になりそう。

・『ライブで人気』『観客との一体感』はこの場合重要か?
そもそも、X JAPANは昔の曲を演りたがらないし、ファンもそこは割り切っているのが定説ではないか?ライヴで人気曲だけではなく、演ったらファンが驚愕する曲でも構わないだろう。観客との一体感なら通俗的な音楽でも体現できる。今回は初心者向けではなく、音楽通向けの話なのだ。

私が通向けに選ぶX JAPAN5曲


1. Art of Life

これだけは先述の通り外せない。『YOSHIKIセレクション』ではバロックや古典派も多かったが、全体構造は末期ロマン派レベルに難解。再度言うが、このピアノソロは「融合」というより半ば「孤立」的だからこそ、この曲は色んな意味で孤高なんだと思う。メタルパートとの共通要素は『未完成』交響曲の伴奏モチーフのみというアンバランスさも面白い、逆に言うとこれだけを残した点にこの曲の命題に対するYOSHIKIの回答を暗示していると私は考えている。

2. 紅

『紅』が一番好きと言ったら『ベタだね〜』とよく返されるのだが、サビが終盤まで来ないデビューシングルがこれほど愛される現象は世界的に見てもあまり例がない。最初のサビ直後にBメロが、ラストのサビ直後に主部イントロを僅かに再現させるだけで一貫性を成立させている点が非凡だと思う。

3. ROSE OF PAIN

ミドルテンポの前半とスピードメタルの後半それぞれにギターソロがあるが、前者はオーケストラに対して、後者はバッハの引用に対してそれぞれ呼応的だ。「BLUE BLOOD」の進行と違って、後半の歌メロが前半の変奏形なのもユニーク。加速がリスナーと惨劇の現場の距離を縮める演出になっている。

4. Voiceless Screaming

たまにLed Zeppelin「Stairway to Heaven」との近似性を指摘される曲であるが、フォーク/トラッド系の演奏アプローチを核としている点では確かに通じるものがある。組曲に走らずに、あくまで静かで繊細な緊張感を貫いた点がこの曲を大成させたように思う。終盤のソウルフルな歌唱法もこのバンドには珍しい。

5. ALIVE

ドラムとピアノ双方が荒れ狂いながらドラマ性に寄与する点で他のバラードとは一線を画している。ギターの勇壮さ、ヴォーカルのキーの高さや熱量も圧倒的で、見えない何かと常に闘っているような緊張感が終始流れている。未洗練さがいい具合にスリルになっているような曲。

総括



人生で最も入れ込んだバンドの曲を通好み用に選ぶのも語るのも、相応に難しかった。X JAPANはクラシック育ちの自分にとってポピュラー音楽の入り口だったので、その後の趣味開拓の根幹にあると言っても過言ではない。

遂には、存在が大きくなり過ぎるとヘヴィローテは気軽に出来ない扱いにもなる。自分のそんな性質をこのバンドは真っ先に暴いた気がする。書いていていつになく勢いが出たのも、自分の来し方を振り返るような気分になったせいだろう。

最後まで読んでいただきありがとうございました!


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