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今年も命日にhideを聴く③『Ja,Zoo』

日を跨いてしまいましたが、遺作の3rdアルバムを聴きます♬

音源について

アーティスト: hide (with Spread Beaver)
タイトル: Ja,Zoo
フォーマット: アルバム
リリース: 1998年11月21日
ジャンル: Visual kei, Industrial Rock

楽曲レビュー


① SPREAD BEAVER

サイバーテイストの上がった作風を予期させるイントロダクション。
妖しさ満点のメインフレーズはキャッチ―でも、合間のサウンドコラージュは一筋縄でいきません。流石I.N.A、凝ってますね。

② ROCKET DIVE

最強のポジティブソング。
アッパーな疾走感も、ポップな歌メロやギターソロも相乗効果。
このアルバムのシングル曲は彼の人生観やメッセージ性が特に濃厚です。
「何でもありだ!はみ出せ!」「どんなドキドキが明日からあるんだ?って感じ。じゃなかったら、昨日までの日記で終わってしまうからな」(『追憶のhide』より)、そんな言葉を思い出しました。

③ LEATHER FACE

サイバー色の強い曲。
重層的なフレーズ挿入も遊び心と技巧で溢れています。
この曲に関しては、zilchバージョンの方が好み。

④ PINK SPIDER

ネット社会に生きる現代人の寓話とヘヴィでグルーヴィな曲調を統合するセンスには度肝を抜かれます。
美しく哀切なサビとのコントラストも素晴らしい。
彼の予見性は鋭い。今日も私たちは「四角い空」に淡い自由の幻想を見ているのです。

⑤ DOUBT '97 (MIXED LEMONED JELLY MIX)

怒りとフラストレーションが増強されたバージョン。
縦ノリよりもグルーヴ重視というのは前2曲にも感じますね。
この曲もI.N.Aの細かいアレンジが効いています。

⑥ FISH SCRATCH FEVER

世間の荒波を唄った歌詞がユーモアたっぷりのロックンロール。
イントロのやり取りを残したのも効果的。

⑦ ever free

今作のポップセンスの白眉。
「ROCKET DIVE」や「PINK SPIDER」よりも現実の厳しさと可能性を追求した歌詞だと思います。
"何度でも打ち上げる"自由は、回り回って再浮上するものです。
あとはアナタ次第って感じで。

⑧ BREEDING

こちらはグランジ度の高めな気怠さのある独特なタイプの曲。
それでいて推進力があるのは、ヘヴィネスを抑えて浮遊感を大切にしているからじゃないかなと思います。
"ダーク"というより"神秘的"に近い。

⑨ HURRY GO ROUND

メルヘンチックなストリングスはいい味出しています。
バラード調ながら軽快な疾走感を出した、回るようなリズム感覚が非凡。
作中最も彼の懐の深さを感じられる曲です。
「また春に会いましょう」は、ことファンには忘れられないフレーズでしょう。

⑩ PINK CLOUD ASSEMBLY


実弟のナレーションの形になってしまいましたが、「PINK SPIDER」込められた自由概念をうまく抽出できていると思います。
D.I.Eのピアノがいい仕事をしています。

総括

hideが生きていたらもちろんこの形にはならなかったでしょう。
しかし、完成からは程遠かった状態からよくぞここまで創り上げたものです。
hideが始めたことを完成させるこの一大プロジェクトは、盟友たちの情熱なくして成立し得ませんでした。
3枚の中でも、最もクリエイティヴで先鋭的な要素が強く出た作品です。
年々ジャンルよりもアート性に拘るようになってきた私にとっては、こじんまりしていようが本作も紛れもない名盤。寧ろ最高傑作へ昇格してきたようにも思います。

hideちゃん、また春に会いましょう。

最後まで読んでいただき、ありがとうございました。


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