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かんがえる子どもを読んで、考えた考えた話。

先日Instagramのおすすめで見た、北九州市で開催されている『安野先生のふしぎな学校』の画像に心を奪われた。

お恥ずかしながら故・安野光雅画伯を知らなかった私はネットで調べ、それから著書を図書館で予約した。そういえば読んでみたい絵本リストにも、確かに安野先生の『ふしぎなたね』があったのだ。どこでオススメをひろったのか忘れてしまったけれど、リンクしたことで余計に読みたい気持ちが増して、他に何冊か見繕い予約ボタンをポチっと押した。


『ふしぎなたね』には、美しい数学7と副題がある。
数学者の野崎昭弘氏・森毅氏と共にシリーズ化した、数学の絵本なのだ。こんな絵本があったとは!
ストーリーもあるが確かに数学の勉強になっている。楽しく順を追って考えさせる展開なので、勉強している気にならない。でもなんと可愛い絵を描かれる方よ。

このお三方は、違った見え方で子どもたちに数学の世界を知ってもらえる、興味を持ってもらえる絵本を作ってくれていたんだろう。
息子たち以前に、私が幼少期にこの本に出会いたかった・・・。そうすればきっと知的な理系女子になれていたのに(無理だね笑)


2018年に出版された『かんがえる子ども』は、「子ども・学ぶこと・考えること」についてのエッセイ。
『ふしぎなたね』の内容がそうであったように、子どもが自分で考えること自分できづくおもしろさを伝えようとしてこられた方なんだと分かる。
今回は借りてこなかったが、安野先生の代表作『ふしぎなえ』『はじめてであうすうがくの絵本』のことについても本書でふれられていたので、やっぱり読んでみたい。

エッセイ内で、こんな例題を出されていた。

【簡単な練習問題】この問題を考えてみましょう。

①5リットルと3リットルのマスで、7リットルの水をくんできなさい。

②1升マス(10合)で、5合の米を量るのにはどうすればよいでしょうか。

③ある時計に金の鎖をつけると、15500円となり、銀の鎖をつけると、13900円になります。金と銀の鎖をおのおのひとつずつ、合計2つ買うと、5400円です。この時計の値段はいくらですか。

『かんがえる子ども』P60より

すぐに正解を見たくなるが…載っていない。
自分で何とか考えるしかない!久しぶりに考えた考えた。(低レベル過ぎ?)
けれどいい加減な私は②だけは「適当に。半分を目分量で。」としか回答できず、几帳面かつものしりな夫に答えを聞いてスッキリした。

でも自分で考える、考えて分かった時の喜びとその面白さを実感した。

文字のない絵本『もりのえほん』から、生い茂る木々の中に隠れている動物たちを発見する1ページも掲載されていた。
これは、息子たちとよく一緒に覗き込んだ『ウォーリーを探せ!』や『ミッケ!』を思い出した。親子共々楽しんだ、懐かしい。

間違っていてもいい、時間がかかってもいい。
その自分で考えるプロセスにこそ楽しさ、分かった時のおもしろさがあるんだ。

学校の授業でも、こんな風に考えさせてくれる時間の余裕と教育自体の余裕があればよかったのにと思うが、時すでに遅し。でも、この考え方はおとなになった私たちにも言えるんだな。

本当に自分がおもしろいと思えることは、誰に何を言われなくてもやってしまうもの。
自分で考えて、自分で選択し、自分で深く学ぶ。
これはきっとおもしろくなければできないし、続かない。

一足飛びに目標を達成したり、唱えるだけで願いが叶ったり、お金を出しさえすればある程度出来るようになるラクで簡単なことよりも、地道で時間はかかるけれど自分で考えて得た知識や発見の方が、はるかに身についている。

学生の頃、試験のために暗記して詰め込んだ知識を覚えていないのは、おもしろくなかったからだったのだ。


「学ぶことは、おもしろいからやるのです」

先生の言葉は、これからの子どもたち大人になった私たちにも、選択する時の指針になる。


絵本だけではなく、本にも旅にもその限りある時間を使うことでその作品は他にもたくさん残されている。

記事のはじめに書いた『安野先生のふしぎな学校』では、そのコレクションから、こくご、さんすう、りか、しゃかいなど楽しい授業が繰り広げられているのだろう。
楽しい妄想をして、私は私の限りある時間で絵本を読もうと思う。



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