寒気がする映画。「ジョーカー」

ジョーカーを観てきました。
周りのクリエイティブ関連の人の鑑賞率が高くて、軒並み評価が良かったのでここは劇場で観ておくべしと思いました。

結論から言えばかなり良かったです。製作陣相当気合い入ってます。画ヂカラがすごい。画面の端から端までヒリヒリするような緊張感が漂います。

冒頭からグイグイ引き込まれていきますが、描かれているのは悲惨な男の日常。ピエロとして生計を立てる男が、職を追われ、公的な支援を断たれ、生い立ちを否定され、遂に悪の権化への一歩を踏み出すまでがしつこくしつこく描かれていきます。

これが寒気がする程に人ごとでは無いと思ってしまうのは、僕も少なからず主人公のように自暴自棄になりかけた時期があるからな訳で。自分の作品、パフォーマンスが認められないのを他人のせいにし、社会のせいにし勝手に恨みを抱き悶々としていた時期がある訳です。
その憂鬱の解消の仕方が違っているだけで、抱いている火種はかなり近しいものがあるのではないかと思い至り、なんとも言えない息苦しさを感じながらスクリーンから目を離せないという、何か金縛りにあったような時間を過ごしました。

クリストファーノーラン版バットマンシリーズもなかなかのクオリティでしたが、こちらの「ジョーカー」は現実世界を切り取り、再現ながらあくまでフィクションの世界であるというリアルとフィクションの往復のバランスが絶妙でした。

ホアキンフェニックスの怪演が光るヘビーな最高傑作、2019年のベストという声も納得の2時間でした。

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