待つ犬の風情
何をおいても犬が好きだ。将来犬と暮らせない未来なら、私はそんな人生を投げ捨てたってかまわない。神様、私を犬アレルギーにしないでおいてくれてありがとうございます。代償として猫アレルギーではありますが、私は犬でいいのです、犬がいいのです。たまらなく犬が好きなのです。
10歳から23歳までの間、うちの家には小さくてかわいいヨークシャーテリアがいた。趣味嗜好がバラバラな私たち家族にとって、犬に関してだけは意見を一致させ、真剣に話し合うことができた。あの子がいなければ家族が解散していても不思議ではない。
そんな思い入れもあって、私は犬が大好きだ。
夕暮れ時、散歩している犬を見たいがために散歩に出ることがある。それくらい、犬が好きだ。この場を借りてお礼を言いたい。犬を散歩している人へ、いつも犬を無料で見せてくれてありがとうございます。
家の中から犬がいなくなり、客観的に犬のことを考えられるようになってから、店の前で待っている犬の姿を撮りためている。今日はそんな私の、店先で待つ犬の素晴らしいコレクションを少しだけ紹介したい。
コンビニの前で待つ犬、八百屋の前で待つ犬、公衆トイレの前で待つ犬。厳密には飼い主に「待たされている」のだけれども、わたしは彼らのことを「待つ犬」と呼ぶようにしている。彼らの能動的な「待て」の姿勢に敬意を表したいからだ。
それぞれのごとに待つ姿勢はさまざま。飼い主が消えていったスーパーのドアを見つめる子、道行く人々に限りなく愛想を振りまく子、思いっきりくつろぐ子、自転車のかごの中で緊張した面持ちの子。飼い主との関係性がとその犬の性格により、犬それぞれの風情があるのだ。
と、まあこんな具合にみんないい子に待っている。
どうもどうも、軒下をお借りして主人を待っているのです、ええ、ご迷惑はかけませんから、といった具合に、小さく謙虚に、じっと待っている犬が多い。
ときどき、こんなところで待っているのかと驚くこともある。
何枚かとっているけれど、待つ犬と心を通わす方法はいまだ発見していないが、待つ犬の撮り方については研究を進めている。
周りの空間をたっぷりとって、待つ犬の孤独感を表現するのがいい感じ。
これからも素晴らしい待つ犬に会えることを期待して街を歩きたい。
犬を待たせている飼い主さんへ、可愛い犬を無料で撮影させていただきました。ありがとうございました。
あの日の待つ犬へ、私と君との秘密だよ。
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