新年の子どもたちを詠んだ、江戸時代の詩 #日本の漢詩
新年の子どもたちについて、江戸時代によまれた詩があります。
新年に、公園で子どもたちがサッカーしたり、凧あげしたりするのをながめるのは、いまも昔もおなじ。江戸時代の人と気持ちが通じるきがします。
こんな詩です
「新年雑述」という七言絶句の、書き下し文と原文を紹介します。
太平を粧点するは 是れ児童
男女の遊嬉 到る処同じ
彩鞠(さいきく) 跳梁(ちょうりょう)して 地を離れず
紙鳶(しえん) 跋扈(ばっこ)して 空を凌がんと欲す
「新年雑述」
太平粧點是兒童
男女遊嬉到處同
彩鞠跳梁不離地
紙鳶跋扈欲凌空
訳すとこんなかんじ
かんたんに訳してみます。
「平和な世をかざるのは子どもたち
どこの子も、遊び楽しんでいる
美しい色の鞠(けまり)は、どこまでもはねまわり
わがままな凧は、高く高く空を上っていく」
作者のこと
・作者の菊池五山(1769~1849)は江戸後期の漢詩人。高松に生まれ、江戸で活躍した。「五山堂詩話」という雑誌を刊行した、いまふうにいえば、漢詩のジャーナリスト。江戸の大火で詩稿が失われ、ほとんどの詩は残っていないという。
おまけ:気になったことば
・「紙鳶(しえん)」は「凧」のこと。「紙の鳶」と表現するのがかっこいい。ピューっと凧が上がるようすが目に浮かぶよう。鳶のほかに、からす「紙鴉(しあ)」とかタカ「紙鷂(しよう)」の表記もあり。
・ちなみに「凧」という漢字は日本で作られたそうで、それまでは江戸時代には、凧は「いかのぼり」と呼ばれた
(参考:呂山 太刀掛重男. 漢詩の手本 第9輯)
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