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親の話

もういい加減髪がボサボサになって友達にも切れと言われたので、今日昼間美容院に行こうと思ったのだがその前に髭も剃っておこうと思った。

その前にふと、僕がまだ小さかった頃に母が働いていた服屋に当時何度か行ったことを思い出し、
あの店の名前はなんだったじゃろうと思い出そうとするがもう最近本当色々思い出せなくなってしまっていて、
でも気になって仕方なかったので母に電話をかけて直接聞くことにする。

聞けばその店名というかブランド名は教えてもらえ、ああそうじゃったそうじゃったと納得したが
その頃のお母さんを取り巻いていた仕事の話は常々興味のある話なので、美容院まで時間もあったし突っ込んであれこれ聞いたら色々当時の話をしてくれた。
原宿のセントラルアパートで働いていた頃の話。


ちなみにだが最近描いてる「鳴らせ」という漫画は音楽漫画なのだがふとした思いつきというか当てはめというか、ひょんなことから「来海さん」という女の子は将来スタイリストを目指している設定となった。

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↓来海さん。

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考えてみると身近なスタイリスト志望者が若い頃の母だったのだ。
なんでなりたいと思ったのかとか、どんな仕事だったのかとか色々聞いた。
そうすると本当に面白い話がゴロゴロ出てきて、
というかそれを面白がっている僕はなんだかんだミーハーなのだなと思った。
華やかでおしゃれな昭和の東京。
いつでも電話をかけれるように十円玉をたくさん持って駆けずり回り、
冬場に「これこれこういう色のビキニを用意してほしい」と言われ、もちろんどこのデパートにもなく情報なんかなく途方に暮れる。
人づてでなんとかしなければいけない局面もあるので人脈も増えていく。
あんな人に会う。こんな人にご飯に誘われる。
あの人のジャンパーを借りて返した記憶がない。(たぶん返してると思うとは言っていた)

これからスタイリストになりたいキャラクターを作る上でヒントをもらえてよかったよかった。


うちの親の話だが、
もうずいぶん前から僕は両親のセンスが好きで憧れている。
若い頃それに気づいて、同時に自分にはそのセンスが圧倒的に欠けていることに気づき表層だけでもなぞるように話を聞いたり、母や父が興味を示すものがあれば自分も理解しようとしてみたり。

10代の子とかによくある話なのかもしれないが、親のお古の服を着たりしてなかった?子供の頃。そんな人いない?
僕が中学生の頃の話なんだけど、自分でも服を買うかとなってある日友達とジーンズメイトという店に行って、生まれて初めて自分で選んでTシャツを買った。
作った方には失礼な話で申し訳ないのだが僕が選んだものはあまりにダサかったらしく一緒に行った友達は「だっっせえーーーー」と大爆笑していた。
あの笑いっぷりは忘れられない。
それはそんなに嫌な思い出なわけではなく、
僕はだんだんと、下手に自分で買うより親の服着ていた方がいいんじゃないかと、何かあるたび親のセンスの良さを理解していった。
高校生くらいになって親と体型がそんなに変わらなくなってからは親や親の友達のお古ばかり着ていた気がする。間違いがないのだ。その頃服装に対して主体性もあんまりなかったし。
お出かけの前に親に服装チェックをしてもらうことも増えていった。
パーカーの上に何か羽織るとか親に教えてもらった。パーカーは一番上じゃないといけないと思ってた。


ファッションだけでなく、音楽、映画、美術、流行り物などなど、いいものを知っているし、新しいものに出会った時、自分の物差しを持っている。その物差しがめちゃくちゃに頼りになる。今でも価値観の指針の一つというか僕の根底にその感覚は根付いていると思う。

裕福だったかはわからないがあの家に生まれてよかったと思う。大変いいものをいただいた。
またゆっくり色々聞きたいものである。



美容院の前に髭を剃るのは忘れた。
この話を振っておけば特に興味のない人んちの話でも最後まで聞いてもらえると思ったのだよ。

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