険路

 7年前の3月、いくつもの街を消し、原子力発電所を爆発させ、2万人以上の命を奪った蠢きは、私を押し潰していたアスファルトやコンクリートもあっけなく流してしまい、世間が右往左往している中、密かに解放感を噛み締めた。背骨の歪みが取れてあるべき場所に収まった清々しさと共に深呼吸をした。フィルターが外れて初めて裸眼で青空を見たような気がした。

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