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散文 どろのすぱげってぃはどこまでも

紅しょうがは宙を舞って、犬を起こした。その犬は今日も穴を掘り、花を咲かせようとする。
またあの日に戻って猫を撫でたい。
スマートフォンはノンアルコールで洗う。
改めてゴロゴロ回って、屋根の七福神を落とした。
木は高く高く伸びやかに鳥の進行を妨げた。
体がばらばらになれば、ひとつひとつは家になる。
靴下が海を泳いで、コウノトリを導いた。
駅は一駅だけで、世界はそこに凝縮する。
水がいちばん美味しい。
印刷用紙は葉っぱの形、インクはカエルの尿。
いちごの森を歩いていくのは、私の親指なの。
もういいから布団に入って。
スラリと伸びた足はイルカのようだった。
爪の先から苔が生える。いつかそこからおびただしいほどの文字が紡がれる。
こんなことになるのなら、僕はリモコンを埋めなかった。
大きく育ったトナカイは、コップの中に納まった。
首輪のついた人影は、ずっと昔に置いてきた。
北海道の命は、ここにある。
アイスクリームはどこへやら、いったっきりの恋人の良さは生き抜くことを知っている。
邪念は僕を追い越して、消えた靴を探し出す。
見つけたものは。黒い椅子。

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