散文 炭酸水は溶け込まないで

私はリビングでスマホをいじる。Twitterで人との繋がりを求めて文字を打つ。
母も兄も同じ空間にいるというのに、私は埋まらない穴を見てしまい、その暗闇に慄いている。
だれかに私の心を知って欲しい。
でも、そもそも私が自分の穴を理解していない。
この穴はどこから、なんで、どうして、誰によって、作られたものなのかがわからない。
別に大した地獄は見てないし、この闇が人生の中心を占めてるとも思わない。明るく生きているし、家族とだって仲が良い。きっと、なんてことの無い穴なのだろう。実際は物凄く浅かったり、ちゃんと見たら暗くもないのかもしれない。
けれど、私はそれがとても怖い。しっかり見ているつもりだ。手触りも匂いも音も何もかもわかってる気がするのに、この穴を、この穴と、相容れることが出来ない。
だから、それを直視せず、適当に人と繋がる。誰も理解してなどくれない。みんな求めるのはからだだけ。笑って話すが、なにも実ることがない。そして嫌になり、全てを消し去る。繋がりたい癖に、すぐに嫌になる。私は何を求めていたのだろう。
空なんて見上げない。

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