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いきなりで恐縮だが、個人的に『コン・エアー』は最高の映画だと思っている。

たしか、たまたま時間が噛み合ったというか、都合がよかったんだと思う。忘れもしない1997年の11月1日。朝、家を出るときにはこの映画を見る予定なんてこれっぽっちもなかったのに、夕方ごろになると他に予定がなくなってやっぱり新宿の映画館の客席に座っていた。

事前に仕入れた情報はまるでなし。期待も全くしていなかったと思う。その上、劇場から帰るころ「ひどい映画だったね」と友人と文句を垂れながら出てくる自分の姿さえ想像していた。でもこれが2時間の上映ののち、天地がひっくり返ったみたいに大興奮が収まらなくなってしまうのだから、人生何が起こるか本当にわからない。

『コン・エアー』の日本公開からこの10月でまる25周年を迎える。そのタイミングに照準を定めたわけでは決してないのだけれど、このたびCINEMORE(シネモア)という媒体でこの映画のことを執筆する機会に恵まれた。

https://cinemore.jp/jp/erudition/2676/article_2677_p1.html

久々にDVDで観た『コン・エアー』はやはり途方に暮れるほど荒唐無稽で面白かった。興奮した。何よりもありきたりのことは全部すっ飛ばして、省略に省略を重ねていく展開に、なるほど、と感じずにいられなかった。言葉で説明すべき場面もあえてそこを省いて大胆に結果だけを提示する。それで観ている側も十分に理解納得がいくからすごいし、非常にコスパが良くて、スピードも一向に落ちない。本当にこの映画は、世の中のあらゆる映画の中でいちばん「ちょうど良い」のかもしれない。

と、ここまで何ら意味のない言葉をずっと羅列してしまったが、要は『コン・エアー』は面白いという話だ。果たしてそれが偶然の産物なのか、それとも用意周到な化学反応に基づいての結果だったのか。製作背景を調べているといろいろと裏側が伺えて楽しかった。そしてスタッフとキャストの奮闘がたくさん詰まった作品であることに嬉しい気持ちがこみ上げてきた。そもそもの企画の発端のこと、ニコラス・ケイジの役作り、さらにはスティーヴ・ブシェミのことまで、できるだけ多くのトピックを盛り込んでみたつもりなので、興味ある方はぜひ覗いてみてほしい。

おまけとはいえVHS2本組の重量感はかなりのもの

ちなみに、こちらの画像はいずれもVHS。もう20年以上前のことなので記憶が曖昧だが、『ザ・ロック』のVHSを購入するとおまけのような形で『メイキング・オブ・コン・エアー』がついてきたんだと思う。これを新宿TSUTAYAから抱えて帰ったのかと思うと、その腕にのしかかってくる重量感にちょっと懐かしさを覚えた。



















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