ルールを設けるとスタッフが疲弊する理由とは

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コワーキングスペース茅場町 Co-Edoを運営している田中弘治です。
この記事はコワーキングスペースのスタッフや、コミュニティのスタッフをしている方向けに書きました。運営に少しお疲れという方もぜひどうぞ。


校則をなくした公立中学校が話題です。

理由のない校則を廃止していったら、何も残らなくなったとのこと。
本当に必要かどうかを考えるというのは、重要なことですね。

ルールがあるから守らせようと躍起になる

こんな記述があります。

桜丘中はかつて生徒同士や教師への暴力が絶えない荒れた学校だった。「朝礼も授業中も怒鳴り声が響き、あれもだめこれもだめ。力で押さえつける指導がまん延していた」
ルールがあるから守らせようと躍起になる。子どもが楽しいはずがない。


コワーキングスペースというのは、自分のしたいことをする場所だと思っています。
にもかかわらず、必要のないルールを設けることに躍起になる運営者もいるのです。

たとえば
「大声を出さない」
というルールがあったとします。

たしかにスペース内で大声を出す人がいたら嫌ですね。
そんなひとを注意して、そのひとがちょっと変な人で、「しゃべっちゃいけないということか?💢」なんて言ってきたら、スタッフも大変でしょう。

ルール化することの弊害

とはいえ、これをルール化したことについての弊害は、あまり語られることがありません。

ひとは「大声を出さない」というルールを知ると、しゃべらなくなってしまうのです。
ほかにもルール化することで弊害が生まれる理由がいくつかあります。

「大声」には基準がない

ひとつめは、「大声」に基準がないことです。
ひとによって基準が違うものは、守ることが大変です。
「大声を出さない」を守ろうとするがために、小さな声でボソボソと話をすることになるかもしれません。
そうやって話すぐらいなら、話をしないという選択をとりたくなることもあるでしょう。

また、あなたが大声だと思ったそれは、そのひとにとっての無意識の声の大きさかもしれません。
そうすると「声の大きさ」を巡った、言い争いになります。
(実際はその点での言い争いにはなりませんが、どちらが正しいかの言い争いになります)
「大声を出さない」というルールを設けたがために、「言い争いになる」という結果を生み出すのです。

ルール化は本当に大切なことにはつながらない

もうひとつは、頭の意識が「大声」にいってしまい、本当に大切なことにつながらないということです。
どうして「大声を出さない」というルールを作ろうと思ったのでしょうか。
たとえばそれが「みんなが快適に作業をする」という目的のための手段だったとします。

ここで次のような疑問が起きます
・大声を出さないということが守られたら、みんなが快適に作業をすることは「直ちに」実現するのか
・そのときいる利用者が全員で大声で話をしていたら、みんなが快適に作業をできることだってあるのではないか
・極端な話、ひとりしかいない利用者が大声で独り言をいっていたとき、(その場の利用者)みんなが快適に作業できている状態ではないのか
・「してはいけないこと」を意識しながら、快適に作業をすることはかなうのか(もっと自由に作業をしたいのではないのか)

「〜〜〜してはいけない」というルールは「〜〜〜」を過剰に意識することになります。
もっとも意識するのがスタッフです。
そしてこのことはつぎの弊害に繋がります。

ルールを守らない人を意識しすぎて疲弊する

スタッフの意識が「大声」にいってしまい、「声の大きさ」を意識するあまり、そういうひとが目につくようになる。
これが冒頭引用した「ルールがあるから守らせようと躍起になる」正体です。

スタッフが優秀であればあるほど、その意識は「声の大きい人」をあぶり出すことになり、結果的に(当初はそんなつもりがなくても時間が経つにつれ)注意したくなる人ばかりに目が行くようになるのです。
さて、ここで「みんなが快適に作業をする」という目的は達成されていきそうでしょうか。反対に、みんなが快適にできていない状況が目に浮かびませんか?

ルールを設ける一番の弊害は、このスタッフが疲弊することだと思います。
それも、優秀なスタッフほど、時間とともに蓄積されていき、解消できないほどの疲弊を生みます。

ルールを設けるときは、本当にそれが必要かどうかを考えよう

というわけで、ルールを設けるときは、本当にそれが必要かどうかを考えてみるとよいでしょう。
どうしてもこれはリスクヘッジ的にルール化したいというときは、利用規約のようなものにしたうえで、普段はそれについて無頓着になりましょう。
招かれざる客からスペースを守るための最後の砦としてのみ使うのです。

あなたのスペースが少しでも良いものになることを願っています。
それでは。

🍵🍵🍵🍵🍵

おまけ

ここからは半分冗談で半分本気のお話です。
読む必要はありません。

Co-Edoでは「お酒を飲んではいけません」というルールがありません。
たまに「18時以降はお酒飲んでもいいですか?」みたいな質問を受けることがありますが、18時以降もなにも、どの時間帯でも制限はありません。
もちろんお酒を飲んでどんちゃん騒ぎしていれば、他の利用者の迷惑になっているかどうかを考えますが、それはまた別の話。(これも時間帯は関係ありません)

Co-Edoはバーチャルな「会社」だと思っているので、一般的なオフィスのルールとあまり変わらない運用というのを心がけています。
電話が禁止でないというのもそのひとつ。

で、お酒です。
一般的なオフィスで「お酒を飲むときは18時以降に限る」というルールを設けているところはありません(笑)
また、そもそも「お酒を飲むのは禁止」というルールを設けているところも、寡聞にして聞きません(笑)

おわかりでしょうか?
Co-Edoには「お酒を飲むのは禁止」というルールを設けていない理由が。

参考にしていただければ幸いです。
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