KIKA的ウェブ小説翻訳術〜代名詞編〜

「KIKA的ウェブ小説翻訳術」では、私が自らの失敗を通してルール化していった翻訳術を書き留めていきたいと思います。初歩的すぎてアイゴかもしれませんが、一旦飲み込んで最後まで読んでくださると泣いて喜びます。

韓国語のウェブ小説には、「그는」「그의」「그게」「자기가」「제」「자신이」など、とにかく代名詞が沢山登場します。

ウェブ小説の翻訳を始めた当初は、原文にある単語はすべて訳さないといけないと思っていたため、多少(というかだいぶ)くどくなっても、省略することなくすべて訳していました。出てきた単語をすべて訳文に盛り込みつつ、いかに自然な文章にするかの戦いだと思っていたんです。

ところが、いざ納品した作品に監修が入ると、多くの代名詞は削られていました

話は逸れますが、私の場合、一度に○万字ずつ受注していて、翻訳にも監修にもかなりの時間がかかるため、自分が訳した作品の監修済みファイルを初めて受け取ったのはこの仕事を始めてから実に半年以上経ってからのことでした。(多分めちゃくちゃ個人差あります)

フィードバックがないまま自分の訳文のクオリティーを上げていくのは至難の業です。また、ウェブ小説はウェブトゥーンに比べて文字数も多く監修に時間がかかるため、頻繁にフィードバックを得ることは難しいです。(今まで6つの作品に携わらせていただいていますが、フィードバックをもらえたのは2作品のみです)

というわけで、フィードバックを通して自分の過ちに気付き、代名詞を省略し始めたのはウェブ小説の翻訳を始めて6ヶ月後のことでした。(遅すぎる)

この他にも、代名詞の処理について、自分の失敗を通してルール化したものがいくつかあるので、簡単な例を挙げながらまとめてみたいと思います。

例1:큰 외침에 남자는 다급하게 입을 틀어막았다. 

私訳:大きな叫び声が響き渡ると、男は慌てて(自分の)口を塞いだ。

見てお分かりの通り、自分のという言葉がなくても十分に意味は通じるため、このような代名詞はできる限り省略します。

例2:황제가 아직 자신의 후계를 정하지 않았다. 가장 가능성이 큰 이가 자이르라고는 하나, 황태자가 된 것은 아니었다. 그런 상태에서 자신을 귀족의 주인이라고 칭한 것은 굉장히 위험한 일이었다.

私訳:皇帝はまだ(自分の)後継ぎを決めていない。最も可能性が高いのはジャイルだと言われているが、まだ皇太子と決まったわけではなかった。正式に決まっていない状態で自らを貴族の主人だと称することは、とても危険なことだった。

「자신의」は例1と同じパターンで、なくても意味が十分通じるため省略します。また、「그런」は「そのような」と訳しても問題ないと思うのですが、私は、「正式に決まっていない」という風に、できるだけ代名詞が指す具体的な内容に置き換えるようにしています。例2の場合は「そのような状態で」でも十分だと思うので、これはあまり良い例ではないのですが、こそあど言葉が連続するような場面も多々あり、そういう場合には必ず内容を置き換え、こそあど言葉の繰り返しにならないよう気をつけています。

例3:공작은 슬리가 편히 눈을 붙일 수 있게 그의 어깨를 내어 줬다.

私訳:公爵は、スリーが楽に眠れるよう自分の肩に寄り掛からせた。

例3ように、代名詞が必要な場合は「自分の」という言い方に変えるようにしています。その方が日本語として自然だと感じるからです。

とりあえず、以上が代名詞についてのマイルールです。大した内容ではありませんが、これに気付いて言語化するのに時間がかかったため、私にとっては宝のようなルールです。

もし、異議アリ!物申す!という方がいたらとってもありがたいです。あなたに出会いたくてこの記事を書いたと言っても過言ではありません。ぜひコメント欄に異論をぶちまけてください(土下座)

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