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最強の

学生の頃、通学で使ってた電車がとにかく混雑していて、何度も危ない目にあった。

満員すぎる車内に押し込められて、バッグを持った腕が、人に挟まれて床と水平の状態になってもバッグの中の物が落ちないという経験をした。

さらに、鮨詰めで乗り合わせた人と正面を合わせた状態になることが大変気まずく、自分を含めて3人がツラを合わせる謎の密着三角の構図になるのが本当に嫌だった。2人なら顔を背けらればいいし、4人以上では絶対に成立しない、超満員の謎の三角だ。

痴漢じゃないですよ。のために、男の人が腕を上げていて、その脇に入り込む(というか詰め込まれる)のも凄く嫌だった。相手もさぞかし嫌だったことだろう。

でも乗らないと授業に間に合わないから、改札を通ってホームへのエスカレーターに乗る。で、ホームに昇り切るあたりで、ホーム自体が満員のためエスカレーターを降りた後の自分の足を踏み入れるスペースがないことを知る…!エスカレーターは無常にも止まる事なく人を運んでくるので、後戻りはできず、すでに出来上がった群衆に思い切って押し入る以外の選択肢がない…

またその線路が主要駅に至るまでに大きなカーブを越えなければならなかったので、遠心力で何度も肋骨が折れそうになった。

最悪なのは緊急停車ボタンが押された時で、停車の放送に「我慢しろよ!!!」とか「次まで待てよ!!!」の怒号が響きわたる。自分に限界が来たとしても絶対に緊急停車ボタンだけは押すまいと決心していた。

結局私は、住んでいた部屋の契約が切れるタイミングで更新せず、自転車通学できる場所に新しい部屋を借りた。満員電車でその日の殆どの体力を消耗していたし、製作した課題がもみくちゃにされるのを守りきる自信がなかったから。その後の学生生活は快適だった。

あまりに人が集まり過ぎると、自分の意志と反することが不可抗力で起きてしまう。身動きが取れなくなって、危険を感じても、すでにどうすることもできなくなってる。一人ひとりが全体を把握しきれてないから、もはやどうすることもできないんだ。

韓国のハロウィンのニュースをきいて、超絶満員電車で覚えた危機感を、鮮明に思い出した。楽しい週末を過ごしたい気持ちで出かけた若い人たちを想うと、とても辛くなる。本当に、すごくこわかったと思う。亡くなられた方への御冥福をお祈りします。

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