添削杯Vol.7 観戦記事 ROUND4 nicofromtokyo vs kurara ~鏡が映すもの~
text by ティル
古の強力なカードが跋扈する環境、ヴィンテージ
そんなイメージを持たれていることもあるかもしれないが、新しいカードを柔軟に取り込んでいく進化する環境でもあるのだ。
こちらの記事でも紹介されているように、新しいカードが採用され、アーキタイプが生まれ、そして既存のデッキも進化していく。
そんなヴィンテージで、最新セットである「エルドレインの森」から《鏡に願いを/Beseech the Mirror》を持ち込み、自身の勝利を写してきたkurara。
「指輪物語」の目玉カードである《一つの指輪/The One Ring》の加護を経て、快進撃を続けるnicofromtokyo。
新しいカードを取り込み、進化していくヴィンテージ。
その姿を、現在負けなしでトーナメントを突き進んでいるこの二人から見せていただこう。
Game1
今大会で初めて7枚をキープできたというnicofromtokyo
その言葉通り、すさまじい展開からゲームは始まった。
《Mishra's Workshop》から始まり、《厳かなモノリス/Grim Monolith》から《一つの指輪/The One Ring》。新進気鋭のこのアーティファクトがnicofromtokyoにカードをもたらすと、さらに《Mox Emerald》《オパールのモックス/Mox Opal》と圧倒的な盤面を作り上げる。
指輪の加護も受けて、自信満々にターンを返したnicofromtokyo。
それを受けたkurara、長考。
目の前の盤面、自身の手札、そして勝利への道筋。あらゆる選択肢を検討した後、応手を決めた。
《Underground Sea》から《暗黒の儀式/Dark Ritual》。そして《Mox Ruby》を協約して《鏡に願いを/Beseech the Mirror》。
その鏡に映るのは《黙示録、シェオルドレッド/Sheoldred, the Apocalypse》。
協約により、鏡に留まることなくそのまま盤面に降り立ったこのファイレクシアの脅威は、指輪の加護を無視してnicofromtokyoの命を蝕む。
一転して脅威にさらされたnicofromtokyoは、回答を得るために指輪に願う。2点、2点、とカードを得る度にシェオルドレッドが、そして指輪の呪いがnicofromtokyoを蝕んでいく。それでも構わず《Time Walk》で時を超えてまで回答を探す。
そして見つけたのは《ファイレクシアの変形者/Phyrexian Metamorph》。これが《一つの指輪/The One Ring》となり、指輪の呪いがリセットされる。
しかしシェオルドレッドの脅威は去っていない。もうすでにnicofromtokyoのライフは風前の灯。
kuraraはプロテクションを持つnicofromtokyoを前に攻めることができず、ひたすら鏡に願った《黙示録、シェオルドレッド/Sheoldred, the Apocalypse》に祈りをささげる。
nicofromtokyoは、ファイレクシアの脅威に対抗するため、《ウルザの物語/Urza's Saga》を読み解くことにした。
目には目を、脅威には脅威を。
物語を紐解くたび1体、また1体と構築物か生み出され、大量のアーティファクトをバックアップにkuraraへと襲い掛かる。
2枚目の《ウルザの物語/Urza's Saga》を読み終えるころには、kuraraのライフも残っていなかった。
nicofromtokyo 1-0 kurara
Game2
先手を取ったkurara、《Mox Sapphire》から《ロリアンの発見/Lórien Revealed》。指輪物語からのこの新兵器は、《Underground Sea》を探すことで安定性に大きく貢献している。
一方ダブルマリガンの憂き目にあったnicofromtokyo、《多用途の鍵/Manifold Key》を置くのみで苦い顔。
余裕をもって仕掛けられると判断したkurara、《悪魔の教示者/Demonic Tutor》、《ブラック・ロータス/Black Lotus》と、少しずつ下準備を整える。
そして《トレイリアのアカデミー/Tolarian Academy》と《ブラック・ロータス/Black Lotus》から大量のマナを得ると、またもや《鏡に願いを/Beseech the Mirror》で自身の勝利を写そうとする。
nicofromtokyoもそれには反応せざるを得ず、《意志の力/Force of Will》を差し向ける。kuraraもそこは読み切っており、きっちり《意志の力/Force of Will》を返して願いを通そうとするが、《精神壊しの罠/Mindbreak Trap》まで握っていたnicofromtokyoの前に鏡への願いは成就せず。
二の矢を紡ぐために《ウルザの物語/Urza's Saga》で準備をしようとしたkuraraに、nicofromtokyoは《外科的摘出/Surgical Extraction》を提示する。
「《意志の力/Force of Will》を追放してください」
「OKです。手札は《鏡に願いを/Beseech the Mirror》だけなので、デッキの中探してください」
「いえ、その必要はないです。」
そういってnicofromtokyoに続けて提示されたのは、《Time Vault》
これを打ち消せないこと、そして自身の手札にある《鏡に願いを/Beseech the Mirror》が自身の願いを写す機会がもう訪れないことを悟ったkuraraは、静かに鏡をケースにしまい込んだ。
nicofromtokyo 2-0 kurara