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添削杯Vol.7 観戦記事 ROUND2 U屋 vs 月見 ~悪魔の力と神の意志~

text by ふみ

64人満員御礼の開催となった添削杯Vol.7。会場内の全ての椅子は使用され、並べられた机に所狭しと広げられるカードの山。試合が終われば「勝った」「負けた」と報告し合い、お互いの近況に笑い合う。

いつも見てきたはずの光景が、添削杯という冠になるとこうも新鮮に感じるのだろうか。今、間違いなくテーブルトップで大会が行われている。

そんな添削杯Vol.7。やはり勝利は嬉しく、敗北は悔しいものだ。そんな嬉しい気持ちをまずは一つ手に入れた二人のプレイヤーをフィーチャー席にお迎えしよう。

と、意気揚々と席に着いた両名。しかしながらU屋には、ここでジャッジからデッキリスト不備の通達がなされ、この試合はGame1を失った形で進められることが通達された。

お祭りごとでもやはりこれはルールに則った大会。勝負事は時に非情なものである。

U屋 0-1 月見


Game2

だがいつまでも悔いていても仕方がない。自分のミスで招いた一敗であるなら、自分の力で取り戻すしかないと気持ちを入れ替えるU屋。その意気を示さんとばかりに、一気呵成にU屋は月見へ襲い掛かる。

《別館の大長/Chancellor of the Annex》を公開するや否や、《魂の洞窟/Cavern of Souls》《ブラックロータス/Black Lotus》と繋げると、矢継ぎ早に《黙示録、シェオルドレッド/Sheoldred, the Apocalypse》を第1ターンに呼び込むことに成功したのだ。

スタンダードからヴィンテージまで全階級を制覇。このシェオルは絶対に失敗しない。

月見も《通りの悪霊/Street Wraith》で新たな1枚を手に入れたうえで《定業/Preordain》を打ち消させることで、大長の枷を逃れることには成功するのだが、そこにシェオルドレッドの悪魔のような手痛い一撃が入る。

U屋の指揮の下、シェオルドレッドが戦場を睨む

続くターンの攻撃こそは《オークの弓使い/Orcish Bowmasters》とともに現れたトークンを犠牲に捧げることで回避するが、情勢は完全にU屋に傾いている。U屋は更に重ねて《ファイレクシアの検閲官/Phyrexian Censor》の追い打ち。

これを前に、必死に防御策を探す月見であったが、次々と繰り出される目の前の悪逆な力をどのようにしても抜けられないと判断したか、ここで投了となった。

U屋 1-1 月見


Game3

立ち合いと同時にそのまま押し切られてしまった月見だが、その表情にはまだ余裕がうかがえるように見える。一方のU屋も勝敗をタイに戻したことで落ち着いてきた様子だ。二人の気持ちが乗り移ったのか、このゲームは両者ともに自信を持っての7枚キープ宣言となった。

常に冷静に見える月見

《湿った墓/Watery Grave》をタップインしつつ《Mox Sapphire》という月見に対して、《古えの墳墓/Ancient Tomb》でスタートのU屋と、今度は静かな立ち上がりとなった。しかし先ほどの両者の自信をると、ここからの動きには大いに期待ができるであろう。

案の定月見は《悪魔の教示者/Demonic Tutor》で手札を整えることで勝負は次のターンであることを口には出さずに語ってみせる。

U屋のキープの理由は《エメリアのアルコン/Archon of Emeria》。だが即座に《殺し/Snuff Out》されてしまいその力を発揮できず。

一方の月見は……自信満々に送り出した《タッサの神託者/Thassa's Oracle》。そして、この一介の魔術師が占い、下るはずだったお告げに《Demonic Consultation》で無理やり割り込みをかける。これこそが先のターンに調達した一枚。

占術先は虚無

「土地さえ壊されなければ大丈夫だろう」と月見に判断させた、殺し・タッサ・教示者、この3枚がキープの根拠。そして、その考えが正しかったことを、神と悪魔の力を、意のままに操ってみせることで証明するのであった。

U屋 1-2 月見


「あっという間に終わっちゃいましたね……」
Game1が無かったとはいえ、他のどのテーブルよりも早く終わった試合を振り返って、U屋はそのように言葉を漏らした。だがそれは自身が見せたGame2も要因の一つ。その勢いは本物であったし、手痛い失敗も今後の糧となるのであれば必要なコストに違いない。


「やっぱり添削杯は、添削さんの使用デッキが合いますね」
試合を見に来た主催にそう軽口を叩く月見。実際のところは決して忖度などではなく、メタゲームを意識しての選択ということだが、そう言えるだけの余裕はディフェンディングチャンピオンのなせる業か。今回も優勝の最右翼、そんな評価も決して大言壮語には聞こえない。


添削杯はまだまだ始まったばかり。部屋中に賑やかな声が響いている。