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崩壊スターレイルというシナリオは〇〇が駆使された脚本である。


こんにちは。初めましての人が殆どであろうから初めまして、という挨拶を便宜上は使わせて頂こう。
96 です。

一般的に新生活が始まる とされている4月が終わり、皆さんは如何お過ごしだろうか。私はと言えば大学に於けるゼミが始まり 自身の進路とも真剣に向き合う時期がやって来た。
しかし、人間はこう言った勉強や将来のビジョン形成など、真面目な事ばかりしていてるだけ、と言うのは精神的な視点から見ても苦痛なものである。

そんな中私たちの生活に必要不可欠とも言えるのが
『娯楽』である。真面な人間で在れば娯楽抜きにして、人生を遂行するというのは不可能に近いだろう。

そんな私は娯楽として『崩壊スターレイル』というゲームにハマっている。

このゲームは所謂ターン制RPGであり 編成や自身のPSに依存してバトル展開が大きく異なるゲームになる。

ここで注目したいのが このゲーム 
" ストーリーが大きく評価されており 心理的側面からストーリーを検討する人も多い " という事である。

そこで今回はエビデンスと共に崩壊スターレイルの脚本が何故評価されているのか という点について考察していこうと思う。


▹▸ 崩壊世界の概要について

崩壊スターレイル(以後hsr)という名前を初めて聞く方に
簡単に崩壊世界を説明すると

『人々はそれぞれ自身の信念に沿う運命を歩む』
という世界観になっています。

hsrの世界線では 前提として"運命"という概念が存在します。
運命とは簡単に言えば、その人が持っている価値観を体現する言葉 です。
例えばゲーム中に実在する運命として"存護"という運命が存在しますが
この存護という運命を歩む者は皆 何かしらを護りたい という信念を秘めています。

そして運命の関連概念として
 ・星神(アイオーン)
・使令
・運命の行人
という生命体が存在します。

星神とは運命を司る神様的な存在です。総ての運命を司るのではなく、存護には存護の星神が
開拓という運命には開拓の星神が存在し
それぞれれっきとした生命体です。
"神"という言葉が入るだけに その力は強力で
その運命に関する事象を操ったり 普通の生命体とは強さの桁が違います。

使令とは星神が直々に選定し能力を付与した
星神の次にその運命に関する事象に干渉出来る、また強さも持ち合わせている存在 と考えて良いです。

運命の行人とは運命を歩んでいる内に その運命から1部能力を引き出せるようになった人達の事を指します。
星神や使令と比べると力は見劣りしますが一般人と"能力の有無"という点で差異があります。

星神と言う大きい存在の影響 そして運命の多様化によりhsr世界では派閥が多く存在します。

簡単に言えばhsrとは星神と派閥、それぞれの運命を歩む人達との間で織り成される物語という事になります。

▹▸ 崩壊スターレイルは〇〇を使うのが上手い

さて、タイトル 今回の見出しにもある〇〇が皆さん
気になっている頃合だと思う。
実は今回のタイトル、そしてnoteの構成は心理的に人を引き寄せる様に設定してみた。

というのも人は未完成の事象に対して注意が多く向いたり、記憶定着が良くなるという性質がある。
所謂"ゼイガルニク効果"という心理的効果だが
タイトルに関しては最初から答えが分かっていてもつまらないだろう。
ゼイガルニク効果とは簡単に言えば完遂した事柄より、途中で終えてしまった事柄の方がその内容を良く覚えている、という心理的効果の事だ。
そして最初から〇〇の回答を用意するのでは無く
途中に長ったらしい文章を挟むことにより
皆さんは潜在的に『〇〇の答えを知ることを遅延されている葛藤』を経験している。

今こうやって〇〇に至るまでの文章を読んでいるのもそうだ。こうすることで皆さんが〇〇に対する興味を無意識的に高めていたのである。

さて、肝心の〇〇に関してだが言ってしまえば
『ギャップ』である。

皆さんはギャップ萌え という言葉を聞いた事をあるだろうか。
ギャップ萌えとは 例えば普段地味な子が
実は遊ぶ時は滅茶苦茶可愛い格好におめかしをしたりして、可愛い子だった と言った具合に
元々保持していた印象と秘匿されていた印象との差によって生じる心理的昂りの事である。

hsrはこのギャップをふんだんに使っているのである。

例えば"符玄"というキャラクターがこのゲームには登場するが、このキャラを簡単に紹介すると
いつも激務に追われる 1つの派閥の上官であり、演算能力や思考力に富んだ 才ある女性。である。

⬆️風格がある符玄

作中符玄はちょっとしたドジをしたり、主人公に砂糖水を持ってくる様に頼んだり、スマホの操作に慣れていなかったり、符玄の上司に当たる将軍に赤子の様に扱われる様が描かれている。
上記した内容は全て前述した様な"しごでき人間"のイメージとは異なり"愛くるしい"イメージが強いと思う。

⬆️これは将軍代理に一時的に任命された符玄

勿論 このギャップは感動を産む為にも用いられる。

例えばアベンチュリンと言うキャラクターは
物語の大部分に於いて"未知数 狡猾 頭が回る"
といった印象を我々に与えるようなキャラである。
しかし、アベンチュリンの過去から今に至るまでの
回想を含めアベンチュリンのギャップを感じた時
我々は恐らくアベンチュリンに対しての印象が
逆転し、胸を強く打つ感情が生じるだろう。



・ギャップに関する理論は幾つが存在するが1部を抜粋して紹介する。
1つ目はゲイン-ロス効果である。
これは一貫して1つのイメージを保持しているよりも、たまに散見されるイメージがその人の評価を大きくするという事である。
例えば一貫して良い事をしている人より、いつも悪いことばかりしている人が良いとされる行為を行った時、一貫して良い人よりも"良い評価値"が高くなる、というものである。
符玄の例で考えてみよう。いつも一貫して可愛い行動をしている子(場合によってはぶりっ子と思われてもしまう)よりもいつも真面目な子に可愛い部分があった。この事実が前者と後者を比較した時に後者の可愛いのレベルを引き上げるのである。

・2つ目はそのままギャップ効果である。
人は前に記憶した印象よりも後の印象を強く記憶する。正に符玄の例も最初は厳格な符玄だが、後に出された可愛いという印象が前の印象よりも強く人の脳みそに刻まれるのである。


このように1人1人のキャラにギャップを使ったり
"脚本中にもギャップを使用する事"により、キャラの愛着を促し、ストーリーを華やかにしている。

ここで皆さんは"脚本中にギャップを使用する"
と言う言葉に疑問を持った筈である。
次の項ではそれについて解説していく。

▹▸ MiHoYoが使う"思考の罠"とは (ネタバレ注意)

このゲーム MiHoYoという会社が手掛けているゲームだが、他の作品も含めて思考の罠を作るのがとても上手い。

ここから先はhsrに関する重大なネタバレを含むので
ネタバレを喰らいたくないと言う方は早めのブラウザバッグを推奨する。(出来るだけネタバレを最小限に抑える表現にして書きます)

さて、思考の罠 とは。
先入観を持たせる と言う事である。
先ず 先入観と言うのは推理小説の様なよくよく読めば物語の破綻に気づける ような要素では無く
"其れを前提としなければいけない(or前提とした方が情報の処理が楽)"といった要素である。
⇒推理小説の様なよくよく読めば〜要素
これは批判的思考を持ち合わせていれば誰でもその綻びに気付くことが出来る。

今回追加されたピノコニー編 終盤。
"記憶のメモキーパー ブラックスワン"と共に物語の綻びを指摘するシーンがあった。気付かなかった人も居るかもしれないが、少なからず私は1発で物語の破綻している部分を見抜くことができた。
しかし あの問いは前提が絶対的に真でないことが分かっている。そして批判的思考を持ち合わせていれば誰でも気付くことができる問題である。

では実際に思考の罠が使用されているシーンとは
例えばピノコニーのホテルロビーは現実である という前提を『現実-夢』という2次元が存在する事を繰り返し意識させる会話によって我々は真と置いていた、というかそうしないと物語を読み進められないだろう。(ピノコニーという惑星ではドリームプールというベッドで入眠する事によって、現実世界の様な夢の世界を体験できる。言ってしまえば我々の世界で言う所の仮想世界=夢である。)
確かにピノコニーではドリームプールに関する説明や夢に関する説明がホテルロビーで織り成されており、『ドリームプールに入ると夢境という夢の世界を楽しむことが出来る』ということを十分に理解させられたと思う。

しかし、実際はとある派閥の能力によって、主人公一行はピノコニーに到着した時点で夢境に入り込んでしまっていたのである。

今回のピノコニーの物語を一通り読んだ人達ならば
分かるとは思うが、波乱万丈なストーリーであったと感じた人が多いのではないだろうか。そして様々な衝撃的な事実に驚き 心打たれた人も多かったと思う。

それはこのような思考の罠が沢山仕掛けられており、我々の心を強く揺さぶる(衝撃性)脚本になっているから。
そう、これこそMiHoYoが使う『ギャップ』なのである。


⬆️是非崩壊スターレイルをプレイしてみてくれ

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