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カフェの音楽空間論 vol.4 -"喫茶探訪" 長野市善光寺周辺編-

先日、久しぶりに定額山善光寺に参拝。
周辺の素敵な街並みを散策してみたら、
新旧さまざまなカフェがあり、今回は数軒訪れてみました。
このnoteではグルメリポートだけでなく、音響の観点もそえて記録していき、素敵なお店の参考に寄与できればと考えております。

喫茶Sirafu

喫茶Sirafu外観

善光寺西、湯福神社が目の前にある喫茶店を紹介します。
昨年2022年オープン。現在8時30分から営業されているので、モーニングに利用するにもよいお店です。
1階が漫画喫茶のような談話室、2階は古式ゆかしい穏やかな雰囲気になっていて、湯福神社の鳥居を眺めながらまったりお茶できるつくりになっています。
お食事は自然派なもので、デザートのバリエーションも多様、モーニングでは中華ちまきがあるなど他では食べられないようなものがあります。
注文したのはコーヒーとチーズケーキで、ベーシックな味わいながら、スローフードでロハス的な感覚が生じる安寧感のあるものでした。
興味深いフードメニューやドリンクメニューが多数あり、営業時間が早いのも大変魅力的。また訪れてみたいお店です。

音響に耳を傾けてみよう

喫茶Sirafuの本棚

東芝のCDプレーヤーからBluetooth経由でBoseのSoundLinkを使用。
そのとき流れていたのは、"JUDEE SILL / HEART FOOD"でした。

このときはまったく知らないアーティストだったので、
どんなアーティストか調べると、34歳でコカインのオーバードースによる薬物中毒で死去、大衆的な支持は得られなかったものの、死後に多くのミュージシャンや著名人が評価をしたアメリカのシンガーソングライターでした。
2枚のアルバムだけ発表されており、J.S.バッハの影響が大きく、詩の面でキリスト教的な喜びと贖罪をテーマにした作品を手がけていたそうです。
とても内省的でソフトな歌唱で、キャロル・キングのような70年代ソングを彷彿させるナイーブな音楽。
古風な家屋の穏やかな雰囲気にマッチしたもので、よくぞこのアーティストを選抜してきたなと店主さんの懐深いセンスが光る選曲だと感じ入りました。

BGMに意識を向けたらどうなるか

座っていた場所的にあまり音量が届かなかったこともあり、にわかに聴こえる音楽とともに周囲の音も混合して聞こえてくる。
他者の話し声にも意識が向くし、木々のざわめき、車が通り過ぎる音、草刈り機の音など…音楽に集中しそうでありながら、周囲の音が気になってしまう。じっくり音楽を聴きながらコーヒーを楽しむというのは意外と難しいもので、音楽を聴くにふさわしい世界観、理想を思い浮かべてしまいました。
これはもはや禅、瞑想の感覚に近くて、瞑想中に意識が散りそうになったらまた呼吸に意識を戻すというような、思考回路が巡りました。
とはいえ、この混声合唱的な環境下において、きぶんは穏やかにチルれた。そのときにおいては上々なきぶんだったし、いま振り返ってみても、よい時間だったな、と思い返せるのは素敵な経験だったと思います。
BGMに意識を向けたことで、音はBGMだけではないことに気づく。ひいては、あらゆる物音がある環世界で自身の内世界に寄与するものを考える時間、"いまここ"に立ち返るよい機会となりました。

コーヒーとチーズケーキ、神社の風情
諸行無常の物語をおもう味わい深い犬小屋

喫茶Sirafu (きっさしらふ)
@kissa_sirafu
場所: 〒380-0861 長野県長野市長野横沢町726
営業時間: 8:30〜16:00
定休日: 日、月、火
駐車場: 先着1台

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