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【食×本 読書録】"月刊 専門料理 JANUARY 2021 一月号"

食文化を読み解き、言葉を綴る食作家を目指し、
智慧を育む本との出会い、読解をしたためます。


今回はハイエンドな料理専門誌、"月刊専門料理”から、
わたしが感じたことについて言及したいと思います。

月刊専門料理2021年1月号
《特集》ワンオペの料理、チームの料理
調理もサービスも一人で行なう店、夫婦2人で営む店、複数のスタッフを雇って営業する店。シェフたちはどんな経緯で、そしてどんな思いから、現在の体制を選んだのでしょう。コロナ禍にあって、レストランの多様化がいっそう進む料理界。1月号は、ワンオペあるいは夫婦2人による店とチームで世界観を表現する店、双方の料理と店作りにフォーカス。やりがい、メリットやデメリット、営業上の工夫などを紹介しながら、新時代のレストランの在り方を探ります。

●一人で作り上げるおまかせコース
都志見セイジ(TSU・SHI・MI)/ 清水 将(レストラン アニス)/ 森 茂彰(mori)/ 中本敬介(ビーニ)
●ワンオペという選択肢 新店4店の場合
千葉稔生(ミル)/ 亀山知彦(アンファス)/ 稲川信太郎(ボトルス)/ 笠井 篤(笠井)
●レフェルヴェソンス サービスが仕上げる料理
レフェルヴェソンス
●チームだからできること、チームだから作れる料理
米田 肇(HAJIME)/ 川島 宙(アコルドゥ)/ 川田智也(茶禅華)
< TOPIC >
1.熟成促進装置を識る セミナー編
“熟成促進装置”の可能性をシェフたちが体感
2.シェフたちと行く 茨城県の生産地ツアー
◆新連載 
浪速割烹にて候  上野修三(浪速料理研究家)
ほか

今回の醍醐味、特集としましては、"ワンオペ or チーム"で営む現場のお声を取り上げながら、「あなたの働きかたをみつめ直してみましょう」と問うものになっています。
ハイエンド・スタイルで食提供をしているシェフたちの、ワンオペを選んだ思いや工夫、そのスケジュールなどは学び深いものです。
正直な感想としては、「あまり眠ってませんなぁ〜」という印象が先ず浮かんでしまいました。しかしこれは、充実したやりがいのある仕事の代償であろうし、その選択は尊いな、と思います。
かたや、チームで働くことを選択している代名詞にふさわしい、まさに「チームだからできる料理」を提供する、"HAJIME"、"Akordu"、"茶禅華"の仕事や料理もまた学び深いもの。
"HAJIME"のシグネチャー・ディッシュである"chikyu 地球"は、1皿を仕上げるに5人で2分半以内に盛り切る。この現場を想像したら、そうとうな信頼感のうえで成り立っているんだろうなと感服してしまいます。
"akordu"の"たった5秒の海「2020」"も、秒で形状変化する料理だろうに、その一瞬にかける情熱も職人魂も凄い。
"茶禅華"の、18人が一同になって食材加工をしている画像も圧巻です。
総じて、トップオブトップの仕事というもの、かくやあらんといった迫力のある特集でした。

また、今号から始まった、"浪速割烹にて候 文・絵 / 上野修三"は、わたしにとってほぼ知見のない浪速の味についての連載で、今後が興味深い。
今号では、「そもそも割烹とは?」というチコちゃんみたいな問いかけから始まっていますが、「刃物を持って食材を割き、火をもってこれを烹(に)る」という意味の熟語だったらしい。つまり、調理人は割烹人と呼んでもいいはずでっせ、と。
ほぅほぅ、自分も割烹人でもあるのだな。

もう間もなくで新年を迎える而今、"庖丁はじめ"があるのなら、"庖丁おわり"もありまして。しっかりと"調を理(おさ)める"仕事は果たしたいかな、と思う次第です。

来月号も、特集が"料理人のマイルール"ということで、"フォリオリーナ・デッラ・ポルタ・フォルトゥーナ"の小林幸司さんや、"エディション・コウジ シモムラ"の下村浩司さんという鬼才天才なWコウジのマイルールも興味深く楽しみです。

こうしたムック本でも、ハイエンドに対する憧憬を抱きながら学びを深めていきます。そうしないと発想が衰退していく一方になってしまいますからね。

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