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【音楽×珈琲 鑑賞録】8月26日~ニコライ・リムスキー=コルサコフ 交響組曲『シェエラザード』

音楽観を鍛える鑑賞録。 
エンディングまであと【128日】
8月26日のテーマは、【音楽史】

とりあげる作品は、 
ニコライ・リムスキー=コルサコフ /
交響組曲『シェエラザード』
です。

ニコライ・アンドレイェヴィチ・リムスキー=コルサコフ
Никола́й Андре́евич Ри́мский-Ко́рсаков
Nikolai Andreyevich Rimsky-Korsakov
1844年3月18日 - 1908年6月21日
ロシアの作曲家

今回とりあげるリムスキー=コルサコフの交響組曲『シェエラザード』作品35(Шехераза́да / Scheherazade)は、1888年に完成された、独奏ヴァイオリンが特徴の交響曲です。

この独奏ヴァイオリンをシェエラザードに見立てているとのことですが、そもそもシェエラザードって何?という感じでした。
追っていくと、シェエラザードは千夜一夜物語(アラビアン・ナイト)の語り手であるとのこと。千夜一夜物語(アラビアン・ナイト)も朧げだったので、改めて話の筋を追っていくことに。
端的にまとめると、シェエラザードがペルシャの王様に毎晩面白い話をして愚行を諌めたという物語。
起源が古く、底本もないため、時代を追うにつれてどんどん話が膨らみ、有名な「アラジンと魔法のランプ」や「アリババと40人の盗賊」もいつ頃から加わったのか定かではないようですね。
とはいえ、ストーリーを見返すと、幼少期の記憶が思い返されて懐かしい感覚を得ることができました。

さて、音楽鑑賞の本筋とは外れてしまったので、楽曲の方に思考を切り替えると、リムスキー=コルサコフの本作は、千夜一夜物語やシェエラザードの物語をテーマにしながら、そこに固執してほしくないために当初用意してあった楽章ごとのタイトルを廃しています。
音楽として聴き及ぶのは、各々の想像上のアラビアン・ナイトであり、純粋な交響曲としても楽しめるものです。

リムスキー=コルサコフは「ロシア5人組」(Могу́чая ку́чка)の一人として括られる音楽家ですが、このロシア5人組は芸術評論家のウラディーミル・スターソフによって命名されたもので、仲間ではあるものの別にグループというわけではないそう。
この5人には共通した理念があり、「反西欧・反プロフェッショナリズム・反アカデミズムを標榜すること」が見受けられたことから括られています。
リムスキー=コルサコフ自身は海軍の軍人で、アマチュアの作曲家だった人。軍人だったゆえか音楽講師としても優秀だったようで、グラズノフとストラヴィンスキーのほか、リャードフ、アレンスキー、プロコフィエフなど錚々たる教え子がいるのも特筆したいところです。

アマチュアでありながら、自らの作品を築き上げ、後世にも影響を与える人物であったというのは学び深い人です。
どのような思考と遍歴で地位を築いたのか。
プロフェッショナルとして生きていく道だけがすべてではない、オルタナティブな生き様を教えてくれる存在でもあるリムスキー=コルサコフ。
聴こえてくる音楽と共に、価値のある人生を窺い知ることができました。

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