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【音楽×珈琲 鑑賞録】9月25日~フランツ・シューベルト 『即興曲集』作品90

音楽観を鍛える鑑賞録。
エンディングまであと【98日】
9月25日のテーマは、【ジャンル】

とりあげる作品は、
フランツ・シューベルト /
『即興曲集』作品90

です。

フランツ・ペーター・シューベルト
Franz Peter Schubert
1797年1月31日 - 1828年11月19日
オーストリアの作曲家

今回とりあげるシューベルトの「4つの即興曲」(Impromptus)作品90、D899は、1827年の作品で、ピアノ独奏曲。
シューベルト晩年となるこの時期は、ほぼウィーンで体調不良のなか多数の曲を作り続けていました。この作品は、形式にとらわれず旋律の美しさを追求し、即興的自由記譜したものです。

即興曲ということもあり、調性もかなり変わるがわる。メロディを重視しながらも展開はめまぐるしい作品です。
この作品を聴くと、
シューベルトほど強迫観念のように作曲し続けた作曲家はいないんじゃないか、と思ってしまいます。
そのくらい晩年にかけて、体調がどんどん悪化するのと反比例するかのように曲を量産しています。

鑑みるに、シューベルトは自らの不安を払拭するかのように、いつか奇跡のような名曲ができて、収益とともに治療費も稼げるのではないかという願い、焦りがあったのではないかと勘繰ってしまいます。
それがまるで神への上奏とも思しき鬼気迫る旋律が生じたり、たゆたうメロディが諦観にも聞こえてくるような、展開の揺れ惑いに作曲家の心情を想像してしまう。
これもまたアート的音楽という気がします。

「報われなくとも最善を尽くす」
ということを信条に日々なにかしらの行動に努めていますが、
シューベルトの生き様から鑑みると、甘っちょろい考え方かもしれません。
生きたかった未来があった人たちの鬼気迫る作品を受け、
わたしたちはそれでも「最善を尽くす」と言い切れる覚悟をもてるか。

シューベルトの作品を聴くと、改めて自分自身の生き様を見つめ直すような時間になっている気がします。

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