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【音楽×珈琲 鑑賞録】3月1日~ドミートリイ・ショスタコーヴィチ オペラ『ムツェンスク郡のマクベス夫人』 × KOICHIRO COFFEE

音楽観を鍛える鑑賞録。
それにあう珈琲をそえて。
3月1日のテーマは【作曲・演奏】

とりあげる作品は、
ドミートリイ・ショスタコーヴィチ /
オペラ『ムツェンスク郡のマクベス夫人』

 ×
KOICHIRO COFFEE
です。

ドミートリイ・ドミートリエヴィチ・ショスタコーヴィチ
ロシア語: Ru-Dmitri Dmitrievich Shostakovich
1906年9月25日(ロシア暦9月12日) - 1975年8月9日
ソビエト連邦時代の作曲家。

『ムツェンスク郡のマクベス夫人』
ロシア語: Леди Макбет Мценского уезда
英語: Lady Macbeth of the Mtsensk District
1930年から1932年にかけて作曲した全4幕9場から構成されるオペラ。原作はニコライ・レスコフの同名の小説(1864年執筆)を基に、作曲者がオペラ化したものです。

このオペラのエピソードからの学びは、
「自己肯定感が世界をつくる」ということでした。

このオペラが話題になっていた1936年の1月、
時の権力者スターリンが観劇しに訪れましたが、
演劇の第3幕の途中で席を立たれてしまいました。
2日後、共産党中央委員会機関紙『プラウダ』に「音楽のかわりに荒唐無稽」と題する批判的な内容の無署名記事が掲載されたそうです。
これが「プラウダ批判」
スターリンの逆鱗にふれ、のちに20年以上も上演禁止になったエピソードです。

問題のオペラシーンの映画版を見てみましたが、時代や国柄を加味してみてもたしかに過激です。現代においても賛否両論は免れないでしょう。
しかしながら、こういったシーンでもオペラをする役者さんのプロ根性がすごい。
官能的であり緊張感のあるシーンで歌い続けるのには、目をみはる役者魂を感じました。

そんななかの音楽ですよ。
性急感があり、扇情的。ハラハラドキドキを演出する交響曲は視聴者を釘づけにします。
これはたしかに危うい。そりゃスターリンも怒るわ。
内容が内容だけに、プラウダ批判に晒されてもショスタコーヴィチは冷静であったという記述も逆に納得できます。「やべぇ・・・」と心底思ったでしょうが。

その後ショスタコーヴィチは、前衛色は失いながらもその時代と思想を音楽で表現していきます。この前衛色を排したことで、「難しいけど分かる」という塩梅が功を奏したのではないか、と思います。
そして、シベリウス、プロコフィエフと共に、マーラー以降の最大の交響曲作曲家と評価されたのは、自身の作品に対する絶対的自信と自尊心を強くもっていたからでしょう。情勢に応じながら、自分自身の思想を誇示していく音楽。
この強い意思表明を作品に落としこんでいったからこそ、作曲家として唯一無二となり、音楽の良質さを伴うことで、自他ともに認める大家となったのではないか、と鑑みました。

翻して、わたしたちも日々クリエイティブなことに携わるなかで、他者の顔色ばかりをうかがわず、ほんとうに表出したいものごとに真摯であるべきです。
ショスタコーヴィチは、鋼鉄の人スターリンにしても、偽りのない自分自身の作品を叩きつけました。たしかに逆鱗には触れましたが、心血を注いだ作品、遺すに値する作品はそのときはダメだったとしても、時がきたら復活させればいい。
まずはやるだけやってみる。ということの大切さを教えてくれます。
死ぬかもしれない賭けをして失敗したというのに、生きつなげた。
それからのリバイバルする強かさ。諦めなければいつか日の目を見る。
そんなことを学びえることができました。

音楽にあう珈琲を考えてみる

このショスタコーヴィチの音楽を受けて、淹れる珈琲も思考してみましょう。
正直、ショスタコーヴィチも初めましてですし、こんな官能的なオペラを見たのも初めてでした。
鑑賞するにも、バイアス抜きにまっさらな気持ちで聴くには、基準やスタンスをもっておくことが大切ではないかとおもうのです。
なので、日ごと"366日の西洋音楽"の楽曲を聴く際は、前日にタイトルだけみて、音源を用意し、当日の朝起きてすぐにヘッドホンで聴くことにしています。
そのあと、記事を読み、いろいろ調べていく。
とにかく音楽としてのファースト・インプレッションはとっておくようにしています。そうしないと、こうした官能的なものだとその部分に誘引されてしまいますからね。

「ファースト・インプレッションを大切に」と思った今回、
淹れたコーヒーは、
KOICHIRO COFFEEの定番ブレンド。

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未開封で味見もしたことがないコーヒーでした。
こうした初めてのものを淹れる際には、特別なドリップはせず、まずはベースとなる淹れ方で試します。
わたしの場合は、井崎英典さんの淹れ方を踏襲しています。

フレンチプレスでカッピングするように試すこともままありますが、
現在は、コーヒー豆が膨らむ様を眺めみることも愉しみになっているため、こちらの淹れ方を好んで行います。

すべてが同じ淹れ具合ではありませんが、基準となるスタンスをもっておくことで比較ができます。
こうするだけで味の違いがわかって面白いし、真新しい出逢いがあると思えて、淹れる前はワクワクします。
ぜひさまざまな淹れ方ができる環境を用意してワクワクを演出してみてください。
朝起きるのが愉しみになりますよ。

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