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【音楽×珈琲 鑑賞録】10月30日~ヨーゼフ・シュトラウス わが人生は愛と喜び

音楽観を鍛える鑑賞録。 
エンディングまであと【63日】
10月30日のテーマは、【ジャンル】

とりあげる作品は、 
ヨーゼフ・シュトラウス /
わが人生は愛と喜び

です。

ヨーゼフ・シュトラウス
Josef Strauss
1827年8月20日 - 1870年7月22日
オーストリアの作曲家・指揮者

「わが人生は愛と喜び」(Mein Lebenslauf ist Lieb' und Lust)作品263は、ウィーン大学の学生たちのために作曲され、1869年2月7日に宮廷大舞踏会場「学生舞踏会」で初演されウィンナ・ワルツです。
 原題の直訳は『わが履歴書は親愛と欲望』となるらしく、邦題はだいぶ美化しているうえに、原題はなかなか直球で邦題とのコントラストが面白いですね。
以前記事にした"Feuerfest!"も、邦題は『鍛冶屋のポルカ』ですが、直訳では「耐火性抜群!」なので、分かりやすいタイトルがヨーゼフの嗜好なのかもしれません。

この作品は、序奏、5つの小ワルツ、コーダで構成され、演奏時間は約8分。
当初、学生舞踏会に献呈するのが目的だったため、序奏にはドイツの学生歌が引用されています。
今日ではウィーンフィル・ニューイヤーコンサートでも演奏されるシュトラウス一族の王道なワルツとして有名な作品になっています。

発表された当初は大人気とはいえず、後年の1931年にドイツ映画「会議は踊る」(Der Kongreß tanzt)の主題歌『新しい酒の歌』でこの作品のメロディーが使われ、ヨーゼフ作品が再び脚光を浴びるようになりました。
ウィーンフィル・ニューイヤーコンサートでも、ナチス・ドイツによるオーストリア併合という不満を抑える目的で開催されるようになったので、今日のシュトラウス一族の栄光は外部要因から復活している側面があります。

兄のヨハン・シュトラウス2世は、現在でもクラシック音楽の最高峰の作曲家として存在感がありますが、有名人なだけに少々恥ずかしい記録も残されてしまっています。
かたや弟ヨーゼフは認知度は低いものの、実直で才能にも恵まれ、惜しまれながら亡くなるという、華やかとはいえないまでも人間性には惹かれる存在です。

人生の歩み方は各々違いますが、多くの人の履歴書を学びながら、親愛と欲望を醸成し、愛と喜びを組成できるように努めていきたいものですね。

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