【音楽×珈琲 鑑賞録】5月17日~ヨーゼフ・シュトラウス 「鍛冶屋のポルカ」
音楽観を鍛える鑑賞録。
5月17日のテーマは、【作曲・演奏】
とりあげる作品は、
ヨーゼフ・シュトラウス /
「鍛冶屋のポルカ」
です。
ヨーゼフ・シュトラウス
ドイツ語: Josef Strauss
1827年8月20日 - 1870年7月22日
オーストリアの作曲家・指揮者
『ワルツの父』ヨハン・シュトラウス1世の次男で、
『ワルツ王』ヨハン・シュトラウス2世の弟。
さらに弟にはエドゥアルト・シュトラウス1世が、
甥にヨハン・シュトラウス3世がいるという
最強のクラシック音楽一族の一人です。
今回とりあげる『鍛冶屋のポルカ』(ドイツ語: Feuerfest!)作品269は、
1869年3月、金庫メーカーのヴェルトハイム商会が、耐火金庫2万個の製造を記念して舞踏会と花火大会を催し、この舞踏会用にヨーゼフ・シュトラウスが作曲。
3月13日に作曲者自身の指揮のもとでシュトラウス管弦楽団によって初演されました。
原題にある"Feuerfest!"は、「耐火性抜群!」という意味で、
金床を打楽器にし、鍛冶屋の格好で演奏したりと、まさにタイアップ曲としてふさわしい仕立てになっています。
現在もウィーン・フィルハーモニー管弦楽団のニューイヤーコンサートで頻繁に演奏される楽曲です。
音楽一族のなかで、シュトラウス一家の右に出るものはいません。
この華麗なる音楽一族になったのは、このヨーゼフの存在がキーだったのではないでしょうか。
父は有名音楽家で、幼少のころから兄とともに音楽に勉めます。
世継ぎになるヨハン・シュトラウス2世が父の音楽的威光を引き継ぐなか、ヨーゼフは工学技師の道へ進みます。
父と兄の引く手あまたの姿をみて、羨ましいとか妬ましいとか、そういった感情もあったとは思いますが、忙しく大変そうな姿、親族に優劣を比較されること、自身の体調を鑑みても断念しておくのは賢明であったはずです。
ただ、父を亡くし、母と兄からの要望もあって、音楽家への歯車となってしまったからには衝突するまで止まることはできなかったのでしょう。
音楽活動17年間で280曲の作品と500曲以上の編曲は並大抵のことではありません。
気負いと期待に逡巡しながら、時代に求められるがまま奮闘した結果、多作かつ名作が生まれ、シュトラウス家の名誉に大きな貢献をしたと言えるでしょう。
一族の未来のために身を尽くしたというのは、
遺伝子的にも大いなる貢献をヨーゼフは為されたとは思います。
そして、もたらした音楽のよろこびは、全人類にとって福音となるものです。
そのことには感謝をしながらも、
人一人の人生を思うとき、
どういう生き方が後悔しないか、ということも考えさせられました。
ヨーゼフ自身は自らが決めたことで人生をまっとうしたのだとは思いますが、
翻して自らを思うと、
運命の歯車に絡めとられたと責任を擦りつけず、
立ち止まり、都度考え、選択肢を浮かびあがらせ、
選びとった先で後悔しても仕方がない。
そんな風に人生をデザインしていこうと思うのです。
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