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【音楽×珈琲 鑑賞録】11月10日~フランツ・シューベルト 『交響曲』未完成

音楽観を鍛える鑑賞録。
エンディングまであと【52日】
11月10日のテーマは、【謎】

とりあげる作品は、
フランツ・シューベルト /
『交響曲』未完成

です

フランツ・ペーター・シューベルト
Franz Peter Schubert
1797年1月31日 - 1828年11月19日
オーストリアの作曲家

「交響曲第7番 ロ短調 D759」は、1822年に作曲した未完とする交響曲です。
シューベルトの交響曲の番号づけは何度も変更されているうえに、なにが正しいかは解釈によりますが、ここは新シューベルト全集における第7番としてとりあげます。

この作品のエピソードは、グラーツ楽友協会から「名誉ディプロマ」(業績証明書)をわずか25歳で授与し、これに対する返礼として交響曲を作曲しました。
そして、作曲家仲間のアンゼルム・ヒュッテンブレンナーが譜面を受け取ると、送られてきたのは第1楽章と第2楽章のみ。
第3楽章のスケッチまでを手がけていたものの、未完のまま次の交響曲にとりかかってしまい、結局未完状態でヒュッテンブレンナーの書棚にしまいこんでしまいました。
それから37年後に、アンゼルムの弟でシューベルトの秘書を務めていたことがあるヨーゼフ・ヒュッテンブレンナーが発見し、世に発表され話題になります。

現在ではシューベルトの代表作のひとつ「未完成」(Die Unvollendete)の愛称で親しまれ、ベートーヴェンの『運命』やドヴォルザークの『新世界より』などと並んで大衆的な人気のある曲として有名になっています。

未完のまま献呈したという謎については諸説ありますし、すべて憶測であり、事実は分かりません。ですが、この謎が人々の好奇心を掻き立て、作品を魅力のある一作品に仕上げているのもまた事実です。

歌曲王と呼ばれ、若くして亡くなってしまったシューベルト。
交響曲の作曲は精神も体力も消耗する大変な作業のために、道半ばになってしまうことは理解できます。
ただ、この未完成の完成度の高さは異常です。
聴いていて、なにか不足でもある?と思えてしまうくらいのスペクタクル感があり、他の作曲家に類をみない交響曲のダイナミズム、メロディの感動が押し寄せてきます。
想像ですが、シューベルトの場合、作曲することは呼吸をするかのように出来ていたんじゃないかと思えるので、この作品も流れるように書き上げたのだと思います。
圧倒的多作と速筆で書き上げた自然発生的音響なのではないかと。
それゆえに頓挫する。それも自然な気がしてしまいます。
奇跡のような作曲家の作品を感慨を深めて聴ける喜びに浸ってしまいました。

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