見出し画像

【音楽×珈琲 鑑賞録】6月8日~ヴォルフガング・アマデウス・モーツァルト 『ピアノソナタ第11番』「トルコ行進曲」

音楽観を鍛える鑑賞録。
6月8日のテーマは、【周辺】

とりあげる作品は、
ヴォルフガング・アマデウス・モーツァルト /
『ピアノソナタ第11番』「トルコ行進曲」

です。

ヴォルフガング・アマデウス・モーツァルト
Wolfgang Amadeus Mozart
1756年1月27日 - 1791年12月5日
オーストリアの音楽家

モーツァルトの「トルコ行進曲」は、
人類にとって聴き逃すことのほうが難しい楽曲ではないでしょうか。
そのくらい世界のどこかで流れていて、
一聴すれば記憶を支配するメロディをもっています。
ですが、あまりにも有名すぎて、トルコ行進曲のメロディだけが残ってしまい、ピアノソナタの一部であることや、なぜトルコ行進曲なのかに思いをきたす人は少ないのではないかと思いました。

わたし自身も今回ピアノソナタ全体を傾聴した記憶はないですし、
このピアノソナタが3楽章しかなく、ソナタ形式から外れながらも、
「この曲をピアノソナタといわずして何をピアノソナタというのか!」
という、力ワザでねじ伏せるようなものになっているのは知りませんでした。

そして、なぜ「トルコ行進曲」だったのか。
モーツァルトが"Alla Turea"(トルコ風)と譜面に記載した気持ちに思いを馳せてみる。

このピアノソナタを作曲した時期は、1778年頃とも1783年頃ともいわれているそうです。
いずれにせよ、その当時はテュルクリ(Turquerie)、つまり「トルコ趣味」が隆盛していました。
オスマン帝国の国家としては衰退していく時代でしたが、広範囲に及ぶ支配下のなかで培われた文化は円熟期を迎えていた頃合いです。
帝国消滅寸前の神聖ローマ帝国で生きるモーツァルトにとっても、オスマントルコは繁栄しているように見え、羨ましく思っていたのではないでしょうか。
音楽で気運をもたらしたかったのかどうかは定かではありませんが、
勢いのある国の流行を取り入れるというのは、いつの時代にもある話です。
そして、そんなありがちな話で埋もれてしまう音楽が少なくないなか、
国も時代も超越した名曲を作りあげるというのは、まさしく天才の所業です。

自らの生い立ちに根ざした音楽性と、
今もっとも勢いのある時代の音を取り入れ昇華する。
至極ありきたりな方法論ですが、
モーツァルトの音楽を聴くほどに、
改めて向き合うに値するものだと深く感じ入りました。

もちろん、作りあげることは難しいことこの上ないものですが、
地道に取り組んでいきたいと思います。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?