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【音楽×本 鑑賞録】"366日の西洋音楽" 1月8日~ジョヴァンニ・ピエルルイージ・ダ・パレストリーナ『教皇マルチェルスのミサ曲』

音楽観を鍛える鑑賞録。
1月8日 本日のテーマは、
【音楽史】古代ギリシャから中世・ルネサンス、バロック、古典、ロマン、現代と音楽の歴史をひも解きます。
とりあげる作品は、
ジョヴァンニ・ピエルルイージ・ダ・パレストリーナ /
『教皇マルチェルスのミサ曲』
です。

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本書には、いまでも多くの人に愛好されているクラシック音楽の名曲の数々を、より深く楽しむための知識や情報を盛り込みました。366の名曲を、「音楽史」「主題」「ジャンル」「逸話」「作曲・演奏」「周辺」「謎」といった7つの共通テーマで考察・解析・推理・解説します。

宗教改革が熱を帯びていた時期、1565年ごろに作られたミサ曲。
日本では群雄割拠のバリッバリな戦国時代なところ、ヨーロッパは、宗教改革が続き、カトリック教会では対抗宗教改革のど真ん中でした。
反宗教改革支持者が「カトリック教徒の教育をおし進めようぞ!」というなか、「聖歌はもっとシンプルでさー、歌詞が聴きとりやすい曲だといいよね。」と思っていたかもしれないところに、ジョヴァンニさんがつくったこの楽曲。
「え!めっちゃ声重なって歌ってるのに歌詞聴き取れるよ!?ふしぎー!」
ということでバズったのかな?と勝手に解釈してみる。

Wikipediaで調べてみると、「教会音楽の父」という異名をもち、大バッハにも影響を与えるなど、まぁすごい偉人なことがわかる。
表題の曲を聴きながら、検索していくなかで示唆深かったのは、

パレストリーナは、105曲のミサ曲、68曲のオッフェルトリウム、少なくとも140曲以上のマドリガル、300曲以上のモテットなど、何百曲もの作品を残した。さらに、少なくとも72曲の聖歌、35曲のマニフィカート、11曲の連祷、4(又は5)曲の哀歌も存在している。

なにかよくわからないジャンルの"沼"の名前が気になりますが、とにかく多作であったということ。
その膨大な楽曲づくりの錬成で、"音楽の聴きごこち"を磨いていったのだと思います。

とにかく手を動かす。

もっとも学び深いポイントはここかもしれません。

大聖堂で歌われるのは、多層で音圧が厚いほうが神秘性が高い。
どうしてもポリフォニー(多声音楽)でやりたいところ、"不協和音は弱拍で"という設計が聴きやすさを生み出し、この秘訣がイノベーションだった。
これは作曲をしていくなかで編み出したアイデアではないかと思います。
こうしてジョヴァンニさんの仕事は、ローマ・カトリック教会にとって最高のモチベーション・ツールになったとともに、信仰精神の一部になっていったんだろうなぁと。

複雑で難解なものがスッと理解できたとき、ひとは感動を覚える。
これをデザインするには、弛まず手を動かし、準備をし、ポジションをとり、エッジを効かせた錬成物を、出すべきときに全力で叩きつけることが要。
あたり前だけどかっこいいというものです。
まさしく、「ジョヴァンニが一晩でやってくれました。」と言いたくなるような仕事を導く、日々の行動が大切ですね。

・・・一晩でやるのはジェバンニか!
失礼しました。

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