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【音楽×珈琲 鑑賞録】4月20日~ガブリエル・フォーレ 『舟歌』

音楽観を鍛える鑑賞録。
2月19日のテーマは【周辺】

とりあげる作品は、
ガブリエル・フォーレ /
『舟歌』

です。

ガブリエル・ユルバン・フォーレ
Gabriel Urbain Fauré
1845年5月12日 - 1924年11月4日
フランスの作曲家。ロマン派音楽。教会オルガニスト、パリ国立音楽・演劇学校教授。

フォーレは2月19日の『レクイエム』での記事以来です。
今回とりあげるフォーレの舟歌(Barcarolle)は、1860年から1924年の三期にまたがり制作されたピアノ曲で、全13曲あります。
『舟歌』とは、ヴェネツィアのゴンドラ漕ぎの歌に由来する声楽曲または器楽曲で、ピアノ曲では夜想曲や幻想曲、即興曲と並ぶ標題のひとつ。 多くは6/8拍子や12/8拍子の複合拍子をとり、優しくゆったりとしたリズムの上にメロディーを乗せ、河や海を漕ぎゆく舟と揺れ動く波の雰囲気を表わすそうです。

 声楽曲ではシューベルト、ウェーバーやロッシーニ、オッフェンバックらのオペラ作品、器楽曲では、ショパン、メンデルスゾーン、チャイコフスキー、ラフマニノフのピアノ作品など多くの著名音楽家がテーマにして数多く作品を残しています。

なかでもフォーレは『舟歌』をライフワークにしていました。
第一期が1860年 - 1885年、第二期が1885年 - 1906年、第三期が1906年 - 1924年といった具合に、テーマを舟歌で通底させながら、時期や作品によって表情や影響された感じが変わっていて非常に面白い。
フォーレ自身はフランスのパミエに生まれ、パリでサン=サーンスから師事を受け、フランス国民音楽協会の設立に尽力しました。ヴェネツィアに行ったのは1891年という記述があるだけで、そこまでゴンドラ漕ぎと近しい人生ではなかったのではないかと思います。

八代亜紀が熊本県出身であるというのと同じように、たまたま縁があって生じた作品が自身の感性や表現力にぴったり合致して、多くの人々に受け入れられたのではないかと思います。
だからこそ作品が変遷することを厭わなかった。
自身の強みみたいなものとうまく巡り合い、それを下地にしながら、時代や環境の影響を受けて変化していく。
こうしたアートワークを通じて、固定概念に縛られず、自由な発想で受け入れることができる精神を築いていったのではないでしょうか。
それが自身のフランス国民音楽協会の立ち位置にまで影響を及ぼしたのではないかと推測してしまいました。

フォーレの『舟歌』を聴いて、
ライフワークとなるアートワークは必ずしも所縁があるわけではなくても、たまたま「いいな」と思えたテーマ、ちょっとした縁のものが結実することもあることを教えてくれている気がします。

日々取り組むことに因果を求めなくてもいい。
やっていたいことで漕ぎ続けたら、思いもかけない場所に辿りつくかもしれませんね。

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