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【音楽×珈琲 鑑賞録】7月25日~フリッツ・クライスラー 『ヴィヴァルディの様式による協奏曲』

音楽観を鍛える鑑賞録。
エンディングまであと【160日】
7月25日のテーマは、【逸話】

とりあげる作品は、
フリッツ・クライスラー /
『ヴィヴァルディの様式による協奏曲』
です。

フリッツ・クライスラー
Fritz Kreisler
1875年2月2日 - 1962年1月29日
オーストリア出身の世界的ヴァイオリニスト、作曲家

今回とりあげるクライスラーの「ヴィヴァルディの様式による協奏曲 ハ長調」(Concerto in C Major in the style of Vivaldi)
1935年の偽作騒動の際に発覚したクライスラーの編曲偽装曲のうちのひとつ。
他者を作曲者の銘に打ちながら、ほぼクライスラーの自作自演というものです。

作曲家としての力量が確かなクライスラーゆえに、当時の話題づくりに終わることなく、現在でも演奏されるようなクラシック音楽になるほど、楽曲としてしっかりしています。

まさにヴィヴァルディが作曲したと思わせてもまったくおかしくない、優雅で気品のある宮廷音楽の質感があります。
ヴァイオリンに覚えのない人も聴いていて心地よいメロディ、
演奏者にしても、初学者でも時間をかけてやればできるかもと思わせるようなシンプルで判別のつきやすい構成になっています。
もちろん、そう易々と弾けるというものではないのは承知していますが、
ハ長調(C Major)の調性が心を湧き立たせ、「いつかはクライスラー」と言いたくなるような音楽性を持っています。

以前の記事で「愛の悲しみ」を聴いた際にも思いましたが、
クライスラーは人の心理を操るかのように喜怒哀楽に対する理解度が高く、そのうえで音楽を巧みに表現しています。
他者の心を操る必要はありませんが、琴線が人の心に在ること、自分自身の気持ちも含めて、どこに感動のポイントがあるのかを探ることができるのがクライスラー音楽の魅力な気がします。

良いメロディを学ぶに、クライスラーのとった選択から聞き取るのも深い示唆があるのではないでしょうか。

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