「強みに基づいたリーダーシップ能力開発」の3ステップ ~書籍『ストレングスベースのリーダーシップコーチング』(8)
こんにちは。紀藤です。本記事にお越しくださり、ありがとうございます。
本日も前回に引き続き「ストレングスベースのリーダーシップ・コーチング」をテーマにした書籍を紹介いたします。
前回のお話はこちら↓↓
「強みに基づいたリーダーシップ能力」はどう開発するのか?
今回のテーマは「強みに基づいたリーダーシップ能力開発のステップ」について紹介している章を解説したいと思います。
「強みが大事なのはわかった、じゃあそれをリーダーシップ能力と紐づけて、どのように開発すればよいのか?」、その具体的な手順が気になるところ。この件について、大まかな3ステップで整理をしています。
以下、詳しく見ていきましょう。
STEP1:仕事上の目標との調整をする
「STEP1:仕事上の目標との調整をする」は、言葉の通りですが「目標を決める」ことです。特に今回は、”組織におけるリーダーシップ”という枕詞がついていますので、「仕事上の目標」という文脈で設定されています。
ポジティブな目標選択をする
最初のポイントが、ポジティブな目標設定です。目標設定は、パフォーマスを向上させるための最も確立された手法の1つとして、多くの研究が目標設定のプラスの効果を示しています。では、どのような目標がよいのでしょうか? 以下いくつかポイントが示唆されています。
なるほど、言われればその通りですが、上記のようなものを満たすことで「自分と周りにとって最適なもの」とすることが大事なのですね。
また、目標設定をする上で注意すべき点も述べられていました。
目標を立てることは効果的ですが、立てる上での注意点も考慮して進めることが大事なようです。
目標立ての観点
次に目標を「強みに基づいたリーダーシップ能力の開発」とのことですが、具体的にどのような領域で目標を立てるとよいのでしょうか? 以下、4つの領域が紹介されていました。
こうした領域も参考にしつつ、自分の強みを事業や戦略計画に関連させてマッピングし、どこに目標を定めるかを決めるのがオススメだそうです。
ここまでで、自分が取り組む目標を決めたら、次に取り組むべき強みの優先順位付けのSTEP2に入ります。
STEP2:優先順位付けをする
次に、「STEP2:優先順位付けをする」ですが、ここで言う優先順位づけとは”十分に活用されている強み/十分に活用されていない強み/弱み、どれに取り組むべきかを明確にすること”としています。例えば、以下のような開発方法があります。
パターン1:強みが十分に発揮されている場合
まずパターン1の強みが十分に発揮されている場合では、「活用のしすぎを認識し、管理する方法を学ぶことがポイント」と述べられています。以下、いくつかヒントが書かれていました。
(1)「活用されている強み」の育て方
・完全に活用されている強みは、その人自身が知っていて、多くの場面で成功しているもの。ピークパフォーマンスのゾーン(スイートスポット・中立)で強みを維持することである。
・そのために、自分の強みが使いすぎ~使わなさすぎが何かを見極める。どんな状態が使いすぎor使わなさすぎかを話し合うことから始める。
(2)「活用しすぎた強み」を管理する上のヒント
・強みを「特定して使う」ことを、盲目的に採用すると、強みの使いすぎになりがちである。
・ちなみに、柔軟性が欠如すると、強みの使いすぎになりがち。細部にこだわるという強みも状況によっては相手にフラストレーションを与えることも。
・補完的な強みで強みを緩和することもできる。((例:自制心を促進するなど。強みを発揮するとは”規制すること”も含まれる)
パターン2:強みが十分活用されていない場合
次に、強みが十分活用されていない場合は、「補完的な強みと組み合わせて活用度を高めることがポイント」とのこと。
(1)「活用されていない強み」を伸ばすためのヒント
・なぜ自分の強みが活かされていないのか?を考える。(例:自分の強みを語ることを恥ずかしいと思ったり、アピールすることに抵抗を感じていることはないか?と内省するなど)
・個人が自分の強みを十分に発揮することが組織にとって有益なことであることを強調する。個人が自分の強みを過小評価しないように教育する。
・補完する強みをペアリングさせて発現させる(例:管理職・経営者が人間関係を構築する強みを発揮することで、相手に責任を持たせることができる等)
パターン3:弱みに対処する場合
最後に3つ目が、弱みに対処する場合です。弱みによって、強みの発揮以前に、職場でパフォーマンスを発揮できていないこともありえます。第一歩は「弱みを特定し、その影響度を特定する」ことです。
(1)「弱み」のチェックの仕方
・弱点が現在及び将来の、潜在的な役割の中心となっているか?
・その弱点が他のコンピテンシーにどの程度影響を与えるか?
・その弱点がどの程度深刻なのか?を検討する
(2)「致命的な弱み」がないかを確認する(Mackie,2008)
・以下の項目は、致命的な弱みとして見られるケースである。
・「委任の失敗」「チーム作りの失敗」「人への同情心がない」「傲慢さ」
「他人への無神経さ」「1人の支援者に頼りすぎている」「変化に対応できない」「適応できない」。これらは対応をする必要がある。
また最後に「誤用された強み」として、”利己的で、倫理に反する可能性があるものに強みを使うとき”というのも注意が必要とされていました(強みがダークサイドに堕ちるみたいなイメージですね)。
あくまでも、ポジティブなリーダーシップは、自己超越的で、より広い組織やコミュニティに有益な課題や目標を追求することです。他者を貶めるようなものに使われることは望ましくありません(当然ですが)。
「強みの開発戦略」とテクニック
また上記にまつわるものとして、強みの開発戦略として、以下のようなテクニックが示されていました。これも具体的な開発計画の上で役に立つかと思います。
「強みの開発」を4次元で考える セルフチェックシート
最後に、ここまでの内容を自分がどれくらいできているのかを知る、セルフチェックシートのようなものも紹介されていました。以下、引用させていただきます。
STEP3:開発計画に落とし込む
最後に「STPE3:開発計画に落とし込む」です。強みの特定のためのアセスメントで得られた知見を活用して成功のビジョンを定義すること、関連する強みを活用し特定した領域の開発につながる具体的な行動を計画することなどを意味しています。
ここでの開発計画の質がリーダーシップ能力の強化において、「個人が起こす変化の大きさ」と「持続性」に大きく相関しているとされています。
強み開発計画の5ステップ
そして、これをより具体的に「強みの開発計画」として、質問形式で流れをまとめたものがあります。以下の5ステップです。
この強みの開発計画は、強みを特定するプロセスの後に行います(つまりストレングス・ファインダーやVIAを実施した後に行う)。新しいスキルや行動を考えることに繋がり、自らのキャリアプランを踏まえ、1年後、3年後、5年後の目標と整合させていくことに役立つステップであるとしています。
リーダーシップ開発として強みをのばすために
さて、リーダーシップには様々な種類があり、またその中でもポジティブアプローチに分類されるリーダーシップ理論として、「オーセンティックリーダーシップ」「フルレンジ型リーダシップ」などが挙げられています。
そして、これらのリーダーシップを開発するために、「強み」を伸ばすことが役立つと述べています。例えば、フルレンジ型リーダーシップで言えば、以下のような形となります。
確かに、言われてみれば、影響力や他者を鼓舞する、知的刺激を行う、個別配慮などは、強みを活用して伸ばすことができる感覚も、納得できるようにも思えます。
まとめと結論
本章は「強みの開発」をテーマに、3つのSTEPを紹介いたしました。
「”組織におけるリーダーシップ能力のための”強みの開発」とは曰く、
1,あるリーダーシップ目標に沿って、個人の強みを調整する一般的プロセスである
2,ポジティブリーダーシップ理論の基本要素に焦点を当てた具体的なプロセスがある
と述べており、上記の文脈を考えた際のリーダーシップ開発の方法について、一つの補助線を示してくれていると感じました。
「強みを4次元で考える」「調整、ペアリング、補完的な強みを考えること」これらも具体的で使えそう!と思える内容で、勉強になった次第です。
最後までお読み頂き、ありがとうございました!
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?