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書籍『Character Strengths Interventions』を読み解く #2(第1章前半)

こんにちは。紀藤です。昨日より、シリーズ「書籍『Character Strengths Interventions』を読み解く」を始めました。

「おお!これはVIAのことを詳しく読み解くのにピッタリの本だ」と勝手に興奮をしていたのですが、実は日本語に翻訳されている書籍(『強みの育て方』ライアン・ニーミック博士、ロバート・マクグラス博士/著)があることを発見しました・・・!

ありがたいはずなのに、何だかちょっと残念な気がしたのはきっと、自らの足で探索をしたかったという本心があったように感じます。とはいいつつ、日本語に翻訳されたものはありがたい限りですので、原著を起点に日本語の訳書を参照しつつ、1章から見ていきたいと思います(内容も原著のほうが専門書っぽく構成されていました)。大事なのはプロセス!ですね。

と、いうことで早速まいりましょう!今日は「第1章 強みに基づく実践の基盤:性格の科学の7つの核心概念(前半)」を見てまいります。

<ご紹介の書籍>
『Character Strengths Interventions: A Field Guide for Practitioners 』
Ryan M. Niemiec(著)
https://amzn.asia/d/hgoUQyF


第1章 強みに基づく実践の基盤:キャラクターの科学の7つの核心概念(前半)

VIAは強みの「共通言語」

VIA研究所は、VIAの分類された強みは性格の「共通言語」であると説明しました。自分の最高の資質が何かを見極めるには、それを言い表す”言葉”が必要になります。
 たとえば、学習により深く打ち込むことができることを「向学心」と言葉にすると、向学心という概念を共有することで、他の人達と「同じページ」に立つことができる、と述べます。
 かつ、それらの強みが特定の文化や思想に根ざすものではなく、宗教、文化、国家、信念体系を超えたものとして存在することで、より共通言語感は高まります。
 VIAでは、古今東西の書籍を渉猟し、人間に普遍的に見られる6つの美徳(知恵、勇気、人間性、正義、節制、超越性)を軸にしているため、より「共通言語」としての有用度が高く言い表しているのがVIAの分類であるようです。また、これらはポジティブ心理学をベースとしており、個人のウェルビーイングにつながると述べます。

VIA分類とウェルビーイングとの繋がり

強みの次元と文脈

さて、そんな「強み」はいくつかの階層に分かれているとします。

VIAの分類では「6つの美徳」として、「知恵・勇気・人間性・正義・節制・超越性」の美徳として分類されています。その下に、合計24の強みが紐づく形になっています。

美徳の意味

まず「美徳(Virtue)」なる表現ですが、あまり日本語では馴染がないかもしれません。直訳すると、「美徳=徳・長所、効力」などと訳されます。これでも抽象度が高いので、調べてみると、その英単語の意味を以下のように解説していました。

【Virtue(美徳)】とは・・・
個人が持つ moral qualities(道徳的な資質)や goodness(善良さ)を指します。また、その他にも「長所」や「利点」といった意味もあります。シチュエーションとしては、人物紹介や人間性の評価、物事の長所・短所を語るときなどに使えます。例えば、「彼の真摯さは彼のvirtueの一つだ」と自分や他人の良い面を表現する時や「その機械のvirtueは耐久性にある」と特定の特性を強調するときにも用いられます。

https://nativecamp.net/heync/question/10762

なるほど、「美徳」というと何だか道徳的な意味合いが強いような語感が日本語ではありますが、”長所・利点などを表した特性”というように捉えても良さそうです。

6つの美徳の特徴

そして「6つの美徳」は、6つそれぞれ以下のような強みとしての色合いを持つようです。

・認知的な強み→「知恵」
・感情的な強み→「勇気」
・社会的・地域的な強み→「人間性・正義」
・保護的な強み→「節制」
・精神的な強み→「超越性」

我々人間が生きる上で大事な、認知・感情・精神など多方面での強みが美徳によっても分類できるようです。

また強みの階層について、さらに補足をすると、McGrath(2015c)が100万人以上の個人を調査し、性格的強みの尺度を分類したところ、24の資質が「3つの因子」に分割されることを発見したそうです。その3つの因子とは、思いやり(Caring)、探究心(Inquisitiveness)、自制心(Self-control)だそうです。

「強みの3因子」→「6つの美徳」→「24の強み」となり、ここに更に強みの文脈を考慮することで、現実の強みの発揮が見えてきます。

強みの文脈

人は時にレッテル貼り(あの人は性格が良い/悪い、ポジティブ/ネガティブ)によって、その人に対する見方を固定化してしまうことがあります。

しかし、強みは「文脈」によって発揮され方が変わってくるのです。人の強みとは「あるorなし]」の単純な二分法では判断できません。

たとえば、遊び場で他の子どもを無慈悲に殴る少年がいたとします(=「思いやり」が表出していないように見える)。しかし、家ではお母さんに対してとっても優しい態度を示す(=「思いやり」が表出している)とします。

・・・そんなふうに、彼は「思いやりがあるorない」で一概には測れないわけです。

さらには、性格的な強みは「その強みが”適切”と言われる程度や基準が文脈によって違う」とことも考慮する必要があります。

たとえば、思いやりも、仕事の場面、家庭の場面、ボランティアの場面などで、望ましい”大きさ”が変わってくるものです。繰り返しますが、何が適切なのかは文脈によって違います。ゆえに白か黒か、全か無かという発想でない視点を持つ事が大事です。(オーディオの「音量のツマミ」のイメージです。部屋の広さに応じて大きさは変えるように、望ましさは文脈によって変わるのです)

まとめ

ということで、今日はここまで。次回は「第一章(後半)」として、

・全24の性格的強みが重要
・強みの種類(才能、技能、興味、資源、価値観、推進力など)
・性格的強みは開発される

を読み解いていきたいと思います。

最後までお読み頂き、ありがとうございました!


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