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「エンゲージメントとは何か」を紐解いてみる(3) ~状態エンゲージメントの先行要因とは?~

こんにちは。紀藤です。今日も注目のキーワードの「ワークエンゲージメント」について、より深く紐解いてみたいと思います。

※前回までのお話はこちら

今回は「エンゲージメントは日々変わる?!」なる『状態エンゲージメント』というキーワードにおいて、学びと気付きを共有させていただきたいと思います。それでは早速参りましょう!

※参考書籍:『ワーク・エンゲイジメント -基本理論と研究のためのハンドブック(第三章)』アーノルド・B・バッカー (編集), マイケル・P・ライター (編集), 井上 彰臣 (翻訳), 大塚 泰正 (翻訳), その他
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エンゲージしている日と、エンゲージしていない日

皆様も胸に手を当てて考えていただきたいのですが、おそらく私達は「日によってエンゲージメント度合いが違う」ということ、あるのじゃないかな、と思います。たとえば「今日はものすごく仕事に没頭し、熱意を覚え、活力がみなぎる日だぞ!」というときもあれば、「全然やる気にならんわ。もう帰りたいぜ5分に1回感じる熱意溢れない日」があるというように。

我々は人間です。感情があり、その状態は移ろいうるものです。なので「上司から怒られた」「同僚と揉め事があった」という人間関係的ないざこざがあったら”状態”は変わりますし、「トラブル対応ばかりで最近創造的な仕事ができていない」という状況が続いても自分の状態は変わるし、はたまた「ちょっと飲みすぎちゃって・・・」という体調的でも代わります。つまり”『状態』は日々変わりうるものである”、ということです。

「状態エンゲージメント」という考え方

これをワーク・エンゲージメントの観点で紐解くと、特性エンゲージメント」という、短期間では変わりづらい特性例えば、前向きな性格特性など)と、「状態エンゲージメント」と短期間で変動する状態(例えば、仕事への関与、熱意・没頭・活力など)に分けるという考えがイメージしやすいです。

特性=変わりづらい。状態=変わりやすい。
そして、それはグラデーションのように地続きになっており「特性~状態が連続している」と見なすことができるという考えがあります。特性ー状態の連続体などといい、この2つは変動の程度の差である、というわけです。(Luthans, Avoho, Aveyら, 2007)。

その考え方に即してみると、「状態エンゲージメント」では「エンゲージしている日と、エンゲージしていない日がありうる」となるわけです。

「状態エンゲージメント」の全体像とは

ではエンゲージメントを個人の一時的な「状態」と捉えたとき、「エンゲージしている日とエンゲージしていない日に影響を与える要因は何か?」を、よりミクロな単位で考えることも可能になります。

「状態エンゲージーメントの先行要因」を切り分けることで、エンゲージメントへの理解がより詳しくわかる、、、ここが本記事における一番のハイライトです。では、一体どのようなものがあるのか? ポイントをみてみましょう。

【間接的にワーク・エンゲージメントに影響を与える先行要因】
●日単位の「プロセス」=リカバリー(資源保存理論)
●日単位の「仕事の資源」=自律性、チームの風土、上司の行動

【直接的にワーク・エンゲージメント影響を与える先行要因】
●日単位の「個人の資源」=自己効力感、自尊感情、楽観性、ポジティブな感情

【ワーク・エンゲージメントを調整する要因】
●日単位の「仕事の要求度」

【ワーク・エンゲージメントのアウトカム】
●仕事のパフォーマンス
●将来に受けた前向きな行動
●仕事中と仕事後の感情と精神的緊張
●仕事以外の領域での感情と行動

最後にアウトカムとして、以下のようなものが
ということで、その全体像について以下、簡単にご紹介してみます

まとめと個人的感想

個人内の「日々の変動」等、経験を記録するためには、「日記法」が代表的なものである、と紹介されていました。

そういえば、以前読んだ「強み論文」でも、「強み日記」によって個人内の日々の変動を図ろう(上司が強みにフォーカスをしてくれた日、そうではない日のエンゲージメントの違いを測定する)という研究論文(『強みの活用とワークエンゲージメント:週間日記研究』)があったことを思い出しました。

エンゲージメントとポジティブ心理学、そして強みの活用もそれぞれ関連し合っていますが、こうした共通点が見えてくると、エンゲージメントや強みの全体像がより正確に把握できるように思えて、嬉しいものだな、と感じた次第です。

引き続き、強みにも大きな影響がある「ワークエンゲージメント」についても探求を進めたいと思います。

最後までお読み頂き、ありがとうございました!

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