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緊急事態宣言明けてからの伊達の黒船太鼓

宮城県は5月14日に解除され、約2ヶ月ぶりに雄勝町伊達の黒船太鼓保存会のみんなと一緒に練習する機会を作れました。その一回目の練習に至るまでのお話です。

・三密にならない場所を考えなければいけない


東日本大震災後の活動再開後から使用させてもらっていた場所は、とても狭く6人以上集まるとかなり密な空間になってしまうので、しばらくは別の場所で練習しようと話し合いで決まる。雄勝の公民館は震災で流されたままで、新しい公民館(的なホールらしい)の落成が来年2021年とのこと。他の石巻市内の公民館は今現在まだ使用不可の状態になっています。(2020年5月28日)

とのことで、これはどう考えても外でやる他ないなとなり、場所の候補を検討。以前、日和山にある鹿島御児神社で公開練習会的にやらせてもらったこともありますが、多分人が集まってきてしまうので却下。
となると、雄勝町内のどこか。野外なら新山神社の境内の一択。以前も何度も練習で使わせてもらった神社。今は無人で町内の葉山神社の宮司さんが管理している。ただ、雨が降ったら練習出来ないので、屋内の候補も考える。雄勝小学校・中学校はまだ自粛期間中でもあり、こういう時に借りるのは迷惑になるのではとこちらも却下。役場の方にも相談に乗ってもらい候補になったのは、5月に新しくオープンした雄勝観光物産交流館「たなこや」に隣接する雄勝伝統産業会館の大会議室だった。簡易の防音壁にはなっているとのことでしたが、ピアノの生音も漏れてくるという噂もチラッと聞いて、音漏れが大変じゃないかととても心配でした。とりあえず、試しにやってみてほしいとのこともありましたので、5月24日日曜日にメンバーを集めて会議室へ太鼓を運び込む。職員さんが心配そうに話しかけてくる。そりゃ、そうですよね。。。(笑)

・音漏れ、アウト!

何人かで普通通りの基礎打ちをしてもらいました。数分してから会長が会議室に入ってきて、渋い顔で僕にも外で聞いてみてと促す。渋い顔で結果は分かりきっていましたが、僕と副会長の二人で会議室外へ。再び太鼓を打合始めると、バッチリ音が漏れているどころか、テーブルに振動まで伝わってきています。職員さんに、笑顔でダメですね〜というと笑っていました。
これは、やはり一番最初に言っていた新山神社で青空練習かなと太鼓を移動させようと準備していると、相談に乗ってくれた役場の方と会長がなにやら話し込んでいました。海の方を指差したりして、大きく頷いています。

トラックに太鼓を積み終えると会長が来て、新山神社では無く防潮堤の下に広くなっている場所があるからその場所を貸してもらえることになったと。防潮堤の下に降りられることを知らなかったので、ポカンとしてしまいましたが、見てみるとなかなか良さそうな場所でした。

・雄勝湾と向き合って和太鼓練習

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広場に降りてみると、思った以上に広い空間。しかも雄勝湾を眺めて太鼓の練習ができるのは本当に嬉しい。伊達の黒船「サン・ファン・バウティスタ号」が建造された場所でもあり(諸説あり)、しっかり雄勝湾と向き合って和太鼓を打つのは、いつも以上にとても良い稽古になりそうだとワクワクしました。それと、やはり久しぶりに思い切り太鼓を打てるということでも相当ワクワク、他のみんなも高ぶっていました。

太鼓を並べて、準備体操をして、構えて、そして打つ。あはは、高ぶり過ぎたのか、みんなバラバラ。と、みんなで苦笑い。でも、数回打っていくと、感覚も戻ってきて、まずまず息が合ってきた。
しかし、暑い。とても暑い。コンクリートに囲まれているから、太陽光が眩しいほど反射している。太鼓の打面も眩しい。こりゃ、日焼け決定だ。
(日焼けしました。)

曲のフレーズの練習をしていると、地元の高校生の子がやってくる。

「いやぁ、なんか聞き慣れた音がしたんで〜〜。」

と、照れている感じで遊びにきてくれた。問答無用でバチを渡して練習に飛び入り参加してもらうことに。(ここの中学校は会長と僕が講師させてもらって授業で伊達の黒船太鼓の曲を覚えています)
忙しいんで〜〜とか言いつつ、しっかり渡したバチを握って太鼓を打つ高校生。その後、しっかり終わりまで練習していきました(笑)

・太鼓の音に寄せられて

練習開始してから数時間が経ち、少しずつ音がまとまってきました。後半は曲の練習を主にしていて、何度も何度も納得のいかない箇所を反復練習する。良くなったかなと、バチを止めて休憩に入ると防潮堤の上から拍手が聞こえてきました。
「たなこや」や伝統産業会館に来てくれた方々や地元で遊びに来てくれた方々が練習を見てくれていていた。

「太鼓の音聞こえてくるなぁって思って来てみたよー」

と。なんかとても嬉しい。

また、練習に飛び入り参加している高校生のお母さんも来てくれて、会員が連れてきていた赤子の世話もしてくれて、とても地域感溢れる「地元」での練習になりました。

震災で離れた場所で練習 をしていたけれど、ようやくホームに戻ってこれる未来が現実味を帯びてきたと感じた、青空練習でした。

祭囃子、獅子舞の練習もここの場所で出来たら良いな。

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