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フォーリー映画効果音体験ワークショップ 2024年1月21日

先日1月21日に、石巻のキネマティカで行われたフォーリー映画効果音体験ワークショップに参加しました。結論から言いますと、めちゃくちゃ面白かった!!です。

自分の普段の生活の中での録音と制作

普段、僕がフィールドレコーディングする時はその場、その時間、季節でしか聞こえないようなものなどを見つけては集音する感じだったり、特にそこまで意識せず聞こえるもの全て広角で集音する感じと、大まかに分けて「特徴的な音を探して録る」「その場で出会う音を録る」の2パターンが多いです。機材も特に凄いものではなく、よくあるシンプルな音楽用のハンディレコーダーをジャマーなどで最低限の吹かれ対策をして内蔵マイクのまま使うことが多いです。もちろん始めから狙ったイメージある時は、広くより耳で聞いた感じを録りたい時はバイノーラルマイクを使ったり、指向マイクを長いマイクポールにつけてオリャァ!って構えてじっとひたすら頑張る時もあります。あとはチャンネルストリップ挿して必要に応じてEQやコンプで、録っていた時の感覚に近づけてとりあえずは軽く整える感じです。

その後にプレイバックして聞いて満足したり(笑)、繋げたり重ねたりしながら自分なりの作品の「補助線」を見つけて音楽、また音響の作品にしたり、気に入った波形をまた細かくしてコレクションを作ったり。

それは、あくまでも作曲というか、制作する場合で。フィールドレコーディングとは別にロケで楽器を演奏する。楽曲ではなくて、その場にある音一つ一つが演奏者のように捉えて即興でセッションするような感覚で。これはこれでものすごく面白いし20歳くらいから何気にやっているからもう結構経つのか。限りなく自然体で即興をというのが自分なりのテーマで、即興の感覚を養う為に始めた練習方法でしたが、練習関係なく面白くなって続いている生涯学習の一つかもしれません。楽器持って行って、構えて、音出さずに終わってしまう時もあります。あくまでも楽器を使った器楽での練習のつもりです。

他には自分の手持ちの生楽器の音を自前でサンプリングしてDAWのサンプラー入れて曲のイメージ作りや、良い感じならそのまま制作やライブで使う時もあったり。昔と違ってその気になれば気軽にできる機材を誰もが持てる時代なので録音(どちらかというと、映像撮影の方ががより人気かな)がより身近になっているなと思います。

持っている楽器をサンプル

そういう感じで録音と楽曲制作と向き合っているのですが、フォーリーは存在は聞いたことあったけれど未知の感覚でした。そんな時にX(Twitter)のTLに小山吾郎さんのワークショップの情報がチラホラ出ていました。勝手に東京か大阪とかだろうなぁぁぁと詳しく見ずに流していたのですが、石巻のキネマティカのアカウントから出ていることに気づいて良く見てみたら石巻でWS開催と知り、即申し込みました。

フォーリーサウンド(フォーリー音響)とは

ジャック・フォーリー (効果音製作者)の開発した手法であり名前の由来にもなっている。米映画作品などにおいて、自作の効果音を制作したことが由来し、効果音全体のなかで「お手製の効果音」のことをフォーリーと言われ使われる。

映画の小道具やセットは、現実のものと同じように音響的に反応しないことが多いため、様々な道具を使用し音を作り、背景音を再現する必要がある。このような重要な背景音がないと、映画は不自然に静かで居心地の悪いものに感じられてしまう。背景音は登場人物の行動や周囲の環境に起因する音は足音、衣擦れ、ドアの音など多方面に渡る。

サウンド制作はフォーリーステージまたはフォーリースタジオと呼ばれる場所で行われる。

Wikipedia:フォーリサウンドより

ワークショップへの期待で前日寝られない

エフェクトなどでサウンドデザインして効果音を作ってミックスするのではなく、映像に合わせて演じながら生活音などを出して録音し、ミックスする。凄く興味深いです。劇伴を作る時のフィルムスコアニングや即興の身体表現に楽器で合わせる時の感覚に近いのかな。
そして、生活音を作るという行為がとてもとても興味深いところです。

例えば僕自身、作品によく水の音を使うことが多かったりもするのですが、山とかで水源見つけて「あっ、良い音!録っておこう!」って録って持ち帰り、自宅のスタジオで流して少し離れて聞いたり、部屋から漏れ出た音を耳にすると

「あれ、、、、なんか男子トイレっぽいかも・・・」

というイメージを持ってしまう時もあって、もちろん現場は空気や木々の音など様々な要素もあるからということもありますが、水の音で印象を作るのは本当に難しいなぁという、悩みみたいなのが、水だけではなく様々あります。

フォーリーの感覚で、何か突破口というか見逃しているであろう感覚を知ることができればと、ワークショップ前日は興奮しすぎて寝られないという、小学生みたいな状態にまでなっていました。

ワークショップ当日

当日の看板

内容は短編の映像に小山さんの道具や、参加者が持ってきた道具を使って映像に合わせて作って録音していくという流れ。

僕は、家の古くなって使わなくなった仏壇のおりん2つ、ゴム音がバシバシ面白いスリングショット、スチール製のテープメジャー、演奏で水を使う時に使うケロリン桶、回すと鳴る蛇腹ホースなどバックに入るサイズのものを持参。

映像の世界観はSFチックでどこかディストピアのような雰囲気。服の衣擦れ、演者の装備物の音、足音、雪を踏む音、扉の開閉と質感、熱い鍋に石と油を入れるなどなど。

まずは収録したままのロケ音(未整音)を聞いてみる。その次に、例として小山さんがつけた音(ロケ音は消して)。全てが作っている音なのに、その場で鳴っているかのように自然に引き込まれていく感じでした。
そして、いざみんなで音を作って録音をしていくパート。録音エンジニアは急遽キネマティカの矢口さん。大変そうでしたが、さすがの対応力。

要素だけではなく、どういう感情で歩いているのか、ドアを開け閉めしているのか、その時の体重はどうなっているのか、などなどいろいろと見えてくるものを、即席に近い道具で演じる。本当に役者や、その場のモノに自分自身を憑依させて音を出すような感じだと、「あっ、なんか良い音を出せたんじゃないかな」という感覚になったり。

道具も一つだけを使うのではなく、合せ技で響きを変えたりしながら様々な方法で音を作って、演じて録ってを繰り返す。

小山吾郎さんのワークショップ中

あれこれ音を作って演じて録ってを繰り返しているうちに、一通り録り終えてプレイバック。みんなが作って演じた音が映像にハマってとても面白い音響に仕上がったと思いました。

その後は様々な質問タイム。
どうしてフォーリーの道へ行ったのか、仕事の時の段取りや、ハリウッドはセリフ以外のロケ音は殆ど使わないという話や、素材(道具)をどのようにして見つけてくるか、カナダのスタジオについて、足音作りの難しさ(嬉しい足音、怒った足音、悲しい足音など)、どれもこれも興味深いお話でした。

そして、演じて録音している時の感覚は、冒頭で書いていた、自然の中で即興の練習で音一つ一つとセッションをしているそれと似た感覚でもあって、これから音作りを色々と試していきたいなと思いました。

単純にフォーリーをやってみたいなとも思いましたので、誰か近場で一緒に遊んでくれる人も募集です笑

記事を書いていたら、昔見てとても影響を受けたドキュメンタリー映画「TOUCH THE SOUND」を急にまた見たくなってきました。DVD、どこかにしまっているはずだから掘り出さなきゃ。

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