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10 Best Albums of 2022

気づけば2022年もあと2週間。前回の更新はなんと上半期ベストでした。便所の落書きとはいえ自分で始めたこと、来年は更新頻度を高くしたいです。便所の落書きからベガーズバンケットのジャケ写になれるように頑張ります。それでは、年間ベスト+次点です。


次点 Into The Blue / Broken Bells

The Shinsの人とDanger Mouesのユニットによるお久しぶりのアルバムです。Danger Mouse印の渋いソウル風トラックによりThe Shinsのインディーポップが渋みを帯び、結果ただ地味なサイケポップになるという不思議なユニットでしたが、3作目となる本作はこれまでで一番しっくりきてます。"Love On The Run"のインディー演歌っぷりが素晴らしいです。

10. Steady / Sloan

カナダのベテラン・パワーポッパーによる13枚目のアルバムは、相変わらず最高のパワーポップです。ビートルズ、王道パワーポップ、爽やかギターロック、酔いどれSSWと4人のソングライターがそれぞれ得意の作風でバッチリキメる、デビュー20年を超えてなおSteadyなSloanを示してくれています。…のですが正直、曲の粒を考えると決して彼らのこれまでのベストとは言えません(むしろここ数作では一番低いかも…)。元々好きなバンドのため、甘々な採点でギリギリランクインとなりました。

9. Big Time / Angel Olsen

エコーの奥から聞こえるカントリーに乗せて歌われる、喪失と新たな恋の物語。リリースされた春の終わりに聴くのも良かったですが、めっきり寒くなった最近聴くのもまた良いですね。
一つの恋の終わり(「もう悪いと思ってないことに対して謝れない/トライすることが残ってないのに頑張れない」)に始まり、家族の死さえ乗り越えて(「年老いた貴方を見る/もっと話したかったけど/音楽が始まった」)、新たな恋に燃える(「こんな日が来るなんて思わなかった/私だけを愛してくれる誰かを見つけるなんて」)激エモな展開をひたすら切ないカントリー・バラードでかまされたらもう、ね。ホットワインでも飲みたくなります。

8.C'mon You Know / Liam Gallagher

このアルバムの何がいいって、このまま何となくOasisっぽい曲とまんま60sなロックンロールをやり続けていくのかと思っていたソロのLiamがごく自然にそうではないこと、音楽的レンジを広げようとしていることを示しているところです。勿論ベースはそこなんですが、本作には謎のポストパンク風の曲(少しダサい)や、Vampire WeekendのEzraを召喚したバロックポップすらあります。これを出したことで次作が楽しみになる、そんな作品だと思います。ネブワースも大盛況、頼もしい!

7. Expert In A Dying Feild / The Beths

聴いた瞬間の興奮、最大瞬間風速は本作が一番だったかもしれません。またぞろ増えてきた90sオルタナリスペクト勢の一組ではありますが、とにかく曲がよろしいです。4曲目の"By Your Side"までは完璧です。終わりゆく恋、知り尽くした相手との最後が見えてきた状態を"消えゆく分野のエキスパート"と評する頭でっかちな文学っぽさなんてあまりにも最高。ただ構成の問題なのか、アルバム全体を通すと少し一本調子な気がします。しかしまだ3枚目、今後に大期待です。

6. Lucifer On The Sofa / Spoon

いつも最高にカッコいい音を聴かせてくれるバンドですが、本作の録音も生々しくふくよかで、しかし時に鋭角で、今年のロック・アルバムの中でも別格のカッコよさです。ダンスに手を出した前作は少しアレな場面もありましたが、イカした音でソウルフルなロックンロールを演奏すればそれだけで最高なのだということを実感させてくれる作品です。
個人的なベストはバラード"My Babe"の2分9秒、ギターが掻き鳴らされる中、しゃがれた声で"俺は拘束されるだろう/息を止め、心から弾けんばかりに歌おう/大袈裟に/マイ・ベイブ"と歌われる瞬間です。最近はPrimal Screamぶりに聞いた気がする全編ダブ・リワーク版もリリースされましたね。そちらもこっちとは別のベクトルで気持ち良かったですです。

5. For All Our Days That Tears The Heart / Jessie Buckley & Bernard Butler

祝・マーキュリー・プライズノミネート!惜しくも受賞とはなりませんでしたが、ひっそりとリリースされた本作が評価されたことはめでたいです。気鋭の女優と元SuedeのBernardによる本格派フォーク・アルバムですが、Bernardファンとしては後半に至るにつれて遂にBernardが自我を抑えられなくなってソウル趣味とエレキギターをかき鳴らし始める構成にこそシビレます。勿論、Jessieさんのキップのいい歌いっぷりあってこそのアルバムです。

4. Being Funny In A Foreign Language / The 1975

こういう、キャリアの途中でふとお出しされる
、成長をしっかり刻み込んだソングライティング重視のアルバムは大好物です。ここ2作くらいの大上段に振りかぶった大作ですっかり批評的にもトップクラスのバンドになりましたが、そういえばデビュー当初は中身の無い80sリバイバルと揶揄されていたことを思い出しました。
例えばU2「原爆解体新書」やThe Killersの"Battle Born"のように、ともすれば将来的にはあまり語られない作品になるかもしれませんが、よりムーディな路線もあったり、しっかりとチャレンジも刻み込んだ、貫禄の一作です。

3. Spark / Whitney

打ち込みによるループやシンセを使用した先行曲に煌めくミラーボールを吊るしたスタジオでレコーディングした…といった前情報を聞いた時は、誰もが不安しかなかったハズです。彼らに限ってはそんな変化は期待していない、頼むからこれまで通りのカントリー・ソウルでいてくれ、と。
結果はなんということでしょう。彼らは大勝利を収めたのです。持ち前のジェントルで物悲しいメロディと歌はそのままによりカラフルになり、冒頭から歌われるのは"日曜日は行く宛を残してくれない/トゥー・マッチに生きて壊れそう"というどうしようもなさ。38分間の極上のポップソング集です。やはりミラーボールはあった方がいいのでしょうか?

2. Everything Was Beautiful / Spiritualized

偉大なる金太郎飴。特にこの20年くらいは同じこと、つまりソウルフルでブルージーでゴスペルなサイケロックをやり続けているこの方ですが、本作は一人で作ったという前作"…And Nothing Hurt"と違いフルバンドとオーケストラで録音したということで、爆音で聴いた時の気持ち良さが段違いです。久しぶりにミニマルな循環で陶酔していく"The Mainline Song"とか聴いてると脳から変な汁が出そうになります。
とはいえ曲単位では前作の方が好きだったりもするため、上半期の一位から順位を一つ下げました。しかし次が出るのは何年後になるのでしょうか。

1.The Car / Arctic Monkeys

ということで一位はArctic Monkeysです。ずっと好きなバンドでしたが、ここまでやられたアルバムは初めてかもしれません。
Alex TurnerがThe Last Shadow Puppettesをやり始めた2007年くらいから顕在化し、"Tranquility Base Hotel & Casino"でバンド本体に持ち込んだものの賛否両論を呼んだ現代版Scott Walker、或いはFrank Sinatraたろうとする野心を遂にモノにしています。
何よりも、3rd"Humbug"から5th"AM"への道程を思い出させるような、外野の声を無視して自分たちの道を邁進し、傑作を作り上げることで力業で黙らせるその姿勢と実力に脱帽です。2回目ですからね。しかもそこにはビートリィなギターフレーズやワウの効いたギターなど、これまでにはなかった演奏面、バンドとしてのチャレンジと成長もしっかりと刻み込んでいる。本当に恐ろしいバンドです。来日公演行きたいなぁ!合言葉はそう、「ミラーボールはあった方がいい」。

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Big Thiefは来日公演に行けなかった妬み嫉みで入りませんでした。SZAとLittle Simzは出るのが唐突すぎて聴き込めてなくてどうしよう。

曲単位でいうとAlex Gの"Runner"が滅茶苦茶好きでした。ずっと新曲を作っていると言いながら出てきたのが新曲入りベスト盤のRazorlightはThe Stone Rosesと同じ道を辿っている気がしてなりません。

来年はU2のリワーク作が出るなんて噂がありますね。楽しみです。Bonoさんは今年の11月に出るとかのたまってましたがご愛嬌。
それでは良いお年をお迎えください。

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