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The Offspring / Let The Bad Times Roll (2021) 感想

あんたよう忘れられん

 今でこそインディーロック大好きおじさんの私ですが、洋楽にハマったきっかけはこのポップ・パンク/メロコアの第一人者、The Offspringだったものです。日本では今やドラえもんの人と言った方が通りが良い彼らですが、ティーンエイジャーだった頃にMステに出ているのを観てカッケー!となったと記憶しています。一番好きな曲は"Want You Bad"です。君の欠点はナイスすぎること、ってのがいいですね。心の00年代ソングベスト100に入ります。

 すっかり普段から頻繁に聴くことはなくなりましたが、ふとした時に聴くとやっぱ好きやねんとなりますし、新譜が出れば気になる存在です。特に同じ時期に一括りな感じでブレイクしたGreen Dayがかの「American Idiot」を機に大物になって以降、なんだか存在感が薄くて肩入れしてしまいます。

大文字のROCK

 彼らの魅力はポップ・パンクと呼ばれる人達の中でも特に、Foo Fightersあたりにも通じる大文字のロックっぽさがあるところです。いや言うほどポップ・パンク掘ってないんでアレですが。個人的には彼らのことは良くも悪くもパンクというよりはテンポの早いアメリカンロックだと思って聴いているのですが、本作でもそれは健在どころか、むしろそちらの色が濃くなっています。
 アコギを取り入れた軽やかなタイトルトラックの、オーオーオーなキャッチーさとここしかないタイミングで入るオクターブのギターなんてもう職人技です。

 曲のパターンが基本的にアハンアハンなパーティソングと早めのアメリカンロックの2通りしかない人達ですが、本作にパーティソングはなく、最もおちゃらけた路線の"We Never Have Sex Anymore"もけっこう渋めの仕上がりです。

頑張れ大ベテラン

 そしてこのパンクというよりアメリカンロック、というのはここ数作続く流れでもあります。
 その傾向が強くなり始めた2作前(と言っても10年以上前ですが)の「Rise And Fall, Rage and Grace」(2008)は今でもふと彼らを聴く時にファーストチョイスになる、よくできたアルバムです。バラードがコテコテすぎるのが玉に瑕ですが。

 前作「Days Go By」(2012)ではパーティソングも混ざっていましたが、その"Cruising California (Bumpin' In My Trunk)"が当時既に40代半ばのおじさんが「ぶーんぶーん夏が終わるまでお家に帰りたくない」ってそんな、と流石に苦しかったので、彼らの年齢も考えればもうそっちは切り捨てていいんじゃないでしょうかね。

 本作はパーティ無しで統一した分アルバムとしての流れは前作よりいいんですけど、曲自体のキレが「Rise〜」ほど良くないために、結論としてはベテランバンドにありがちな、生存報告としての「後期の佳作」の一作(90年代のストーンズ的な)になってしまっていることは否めません。
 結局一番耳に残るのが30年前の曲のリテイクというのがその証拠です。年甲斐のないパーティソングやロック演歌ではなく、こういう初期にみられた硬派なミッド・テンポの曲で緩急をつたような作品が出た時こそが、アメリカンロックとしての彼らの到達点だと思います。しかし次が出るのはいつになるのか。

点数

5.5

 彼らのライブに行ったことがないのでナンなんですが、今のThe Offpringってどういう存在なんでしょう。Green Dayと比べて新しいファンがつくきっかけがない気がするので、やはりもっと頑張って欲しいですね。

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